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能登町に移住 農家民宿継ぐ 田村さん夫妻 来夏開業へ

2021年9月25日 05時00分 (9月25日 10時39分更新)

ゆうか庵を引き継いだ左から田村哲史さん・早苗さん、経営者だった中田幸子さん・隆さん=能登町本木で

築120年「ゆうか庵」地元夫婦からバトン

 東京から八月末に能登町に移住してきた田村早苗さん(33)と哲史さん(41)夫妻が、農家民宿「ゆうか庵」(同町本木)を引き継ぐ。二人は来夏のオープンに向け、準備に励んでいる。 (上井啓太郎)
 早苗さんは金沢市出身。東京で就職したが、その頃から「将来は自分で商売をしたい」と考えていたという。三年ほど前から宿の経営をしたいと考え、昨年初めに石川県主催の移住と起業のセミナーに参加した。そこで、同じ県内出身ながら訪れたことのなかった能登半島について話を聞き、一度行ってみようと宿泊先に選んだのがゆうか庵だった。
 ゆうか庵は、中田幸子さん(69)が二〇〇九年に築約百二十年の自宅で始めた。夫の隆さん(70)が手伝い、人気の宿となったが、開業から十年以上たち、後継者を探していた。
 「中田さん夫婦と話が合い、宿も魅力的だった」と早苗さん。民宿を引き継ぎたいと話す人はそれまでもいたが、周辺の山や田畑とともに引き継いでくれる人はいなかった。早苗さんは「山登りなど夫婦ともアウトドアが好きで、農業にも挑戦したかった」。昨年七月に一週間、インターンとして働き、料理を作ったり接客したりして、同秋に最終的に宿を継ぐことを決めた。
 田村さん夫妻は今年八月末に移り住み、中田さん夫妻が息子のいる大阪に引っ越すまで、約三週間かけて引き継ぎを受けた。宿で人気の「ブルーベリーのおこわ」の作り方、山菜やタケノコの保存方法、山の管理…明治時代から伝わる大きな蔵の鍵の開け方も教わった。「ネットではどうやっても調べられない、価値あることを教わった」と話す。
 再オープンでは、宿を「土とディスコ」という名前に変えるつもりだ。「二人が好きな自然と音楽を介して、さまざまな人がごちゃまぜに交流できる場所を目指したい」と目を輝かせる。

町促進協仲介の移住
コロナ禍影響? 昨年度最多49人

 能登町への移住支援に取り組む町定住促進協議会によると、昨年度に同会が仲介した移住者は四十九人と、設立した二〇一五年度以降で最多になった。空き家バンクなど他の方法を使った人を含む全移住者は、昨年度初めて統計が取られ、八十人だった。同会事務局の森進之介さん(41)は「コロナ禍の影響が大きい。今都会で子育てすると子どもにストレスがかかると移住してきた人もいる」と分析する。
 森さんは「田村さん夫妻は、能登町での『継業』の第一例になる」と話す。継業とは近年生まれた言葉で、第三者が移り住むだけでなく、その地で続いてきた家業を継ぐことを指す。「小規模事業者が消えると、地域へのダメージも大きい。顧客などを引き継げるので、起業リスクを考えても、ゼロからの起業よりいい手段」として、引き続き推進していく考えを示す。

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