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完璧な騎乗だった福永騎手 コントレイルは18頭中、もっとも遅く…そして一気に仕掛けた[本城雅人コラム]

2020年4月20日 11時02分

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皐月賞を制したコントレイル(右)。左はサリオス

皐月賞を制したコントレイル(右)。左はサリオス

 競馬場に行けないファンの鬱憤(うっぷん)を晴らしてくれた最高のレースだった。2頭の無敗のG1馬以外にも強豪馬がそろう相当なレベルの高い皐月賞だったが、最優秀2歳牡馬、そして1番人気に推されたコントレイルは強かった。サリオスとの最後の競り合いは、見ていて体がしびれたほどだった。
 福永祐一騎手は落ち着いていた。本人も「意外だった」と話したように、先行できる馬が2コーナーでは中団より後方寄り。しかもインにいただけに、さまざまな厳しい局面が、その時点で頭に浮かんだに違いない。サリオスもサトノフラッグも前方のコースの真ん中につけていて、このままではライバルたちより外を回ることになるのは明らか。こういう時、騎手は少しでもいいポジションを取ろうと早く動きたくなるものだが「大外まくり」を決めていた福永騎手は、おそらく18頭の中で、もっとも遅いといってもいいほどのタイミングで、そして一気に仕掛けた。このためらいのない判断が、どの馬にも邪魔をされることなく、矢作調教師が「脚が速い」と評する愛馬を瞬く間にスピードに乗せたのだ。内をついたサリオスと比較すればずいぶん長い距離を走ったが「コースロス」より、周りの馬によって走法やリズムを乱す「ストライドロス」を避けた完璧な騎乗だった。
 今年のクラシックは上位2頭とサトノフラッグを含めた3強で、ナリタタイシン、ウイニングチケット、ビワハヤヒデの1993年、テイエムオペラオー、アドマイヤベガ、ナリタトップロードの99年のような3頭で三冠を分け合う年になると思っていた。だが、この一戦であっさり撤回。ただし2着サリオスとはまだ勝負付けが済んだとは言えず、コントレイルとサリオスの2頭で、アメリカの歴史に残るライバル対決、89年のサンデーサイレンスとイージーゴアのような激闘が繰り広げられる期待がする。(作家)
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