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障害学童施設で不正請求か 浜松市、指定取り消しも

2021年9月24日 05時00分 (9月24日 10時51分更新)
不正請求の疑いが浮上している「天使の部屋葵教室」=浜松市中区で

不正請求の疑いが浮上している「天使の部屋葵教室」=浜松市中区で

  • 不正請求の疑いが浮上している「天使の部屋葵教室」=浜松市中区で
 障害がある子どもたちが放課後などに利用し「障害児の学童保育」とも呼ばれる放課後等デイサービス(放デイ)で、浜松市中区の事業所「天使の部屋葵教室」が法定の人員を適切に配置せず、報酬として受け取る国などからの給付費を不正に請求、受給した疑いがあるとして、市が監査に入ったことが関係者への取材で分かった。不正を確認し次第、指定取り消しなどの行政処分を検討する。

◆管理責任者 虚偽の疑い

 事業所は同市北区のNPO法人アンヘレスが二〇一九年に開設した。初年度は定員十人の放デイを二つ、二〇年度からは重度の心身障害児を対象とする定員五人のものを加え、計三サービスを提供している。
 市などによると、児童福祉法で一サービスにつき一人の児童発達支援管理責任者の配置が義務付けられている。二〇年度は少なくとも一人を別の事業所の職員、二一年度も少なくとも一人を退職した職員の氏名で申請していた疑いがある。
 同責任者は児童、生徒の発達に応じて個別支援計画を作成する「事業所で最も重要な人員」(市障害保健福祉課)。退職などで一時的に不在になった場合はそれぞれのサービスにおける給付費が30〜50%減額されるが、アンヘレスは満額を申請していたとみられる。
 アンヘレスは北区を中心に市内で四事業所を運営。事業報告書によると、一九年度は計七十人の子どもが利用し、約二億円の給付費を受け取った。二〇年度も計九十人が利用し、給付費は約二億三千万円に上る。人件費や家賃などの経費を差し引いても二千四百万円ほどが残っている。市は九月九、十の両日に監査に入り、裏付けを進めている。徳田恭子理事長は取材に「今の段階でお答えできることはない」と話した。

◆相次ぐ処分 チェック後手

 放デイは家から離れた特別支援学校に通う子どもたちの放課後の居場所を作ろうと、保護者らが始めた活動が出発点。二〇一二年四月に児童福祉法に規定され、障害のある六〜十八歳の児童生徒が放課後や長期休暇に利用する。県内では〇二年、浜松市に初の民間施設が開設された。一日時点で市内には九十八カ所あり、約二千人が利用する。
 共働き家庭の増加などでニーズは高まり、全国でも一万六千七百十八カ所、利用者は二十六万九千二百八十四人(いずれも五月時点)と一二年度の五倍以上となった。利用料は一人一回一万円前後で、九割以上が国などからの給付費だ。
 家庭と事業所をつなぐ浜松市西区の相談支援事業所「まど」の社会福祉士、高木誠一さんは「まだまだ足りていないので、作ればすぐにいっぱいになる。事業としては起こしやすいし、人件費を抑えればもうかると思う」と話す。
 事業所によってはテレビを見せているだけなど、支援の質に差があることが問題視され、厚生労働省は一五年にガイドラインを策定。一七年には職員の半数以上を児童指導員や保育士とすることを義務付けた。
 それでも不正請求などが後を絶たず、一九年度は全国で四十三事業所が行政処分を受けた。厚労省の担当者は「新規参入の営利法人には基準を守る意識が低いところもある。事業所が増え、自治体も手が回らず、直接指導に入るのが難しくなっている」と指摘する。
 高木さんは「個人に合わせたサービスで、放デイにはすごく期待している」と強調し、こう続ける。「障害の重い子、医療ケアが必要な子、虐待を受けている子にも携わる施設になっていく。これからは当然、質が問われていく」 (高橋雅人)

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