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秋の飛躍へ『蹄の強度』が春とはがらっと変わったワンダフルタウンに注目【獣医師記者コラム・競馬は科学だ】

2021年9月24日 06時00分

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神戸新聞杯に出走するワンダフルタウン

神戸新聞杯に出走するワンダフルタウン

 ◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 
競馬場入場には事前の予約が必要な措置が続いているため、大半のファンがモニター越しの下見所観察を強いられている。現場での観察と比べ、絶望的に観察しにくいのが、出走馬の蹄底の様子だ。現場で下見所観察する場合、観察者の前を通り過ぎて間もなく、やや後方から蹄を見る。地面から蹄底が離れる瞬間に、蹄鉄の形や特殊な装蹄法を使っていないかを観察。横位置でやや遠めのモニターでは到底無理だ。
 神戸新聞杯に出走するワンダフルタウンは、競馬場に入場できれば、ぜひ現在の蹄の様子を観察してもらいたい馬の好例だ。春までとは蹄の強度ががらっと変わっている。
 春までは蹄壁がややもろく、接着装蹄を強いられていた。通常は「蹄釘(ていちょう)」と呼ばれるやや平べったいくぎで蹄鉄を蹄に固定する。もっとも、くぎを通せるのは蹄の最も外側数ミリ。角質だけで構成され、打っても痛みはまったく生じない。ここの厚みと強度が足りないと、直接くぎは打てず、かわりにエクイロックスと呼ばれる充てん剤を使う。
 エクイロックスによる装蹄法は大きく分けて2つ。エクイロックスが開発された当初主流だったのは、充てん剤を蹄壁にべったり貼り付けてエクイロックスの層をつくり、ここに打つ方法。打つのには足りなかった蹄壁の厚さを充てん剤で補うという考え方だ。もともとエクイロックスは蹄壁欠損でできた空間を埋めるために開発された。本来の開発意図に沿った発想と言える。
 近年の主流は充てん剤を接着剤として使い、くぎを打たない方法。蹄が着地時に開いたり閉じたりすることで血液を体感側に押し返す「蹄機作用」を抑制する可能性が指摘されている。
 ワンダフルタウンは京都2歳Sの後、蹄壁強度の問題で青葉賞が3歳初戦という異例のローテを強いられた。夏の間に蹄強度が一気上昇。くぎで蹄鉄を固定されており、春より調教の動きも一層、目立つようになった。ピークは本番たる菊花賞だろうが、初戦から春を上回るパフォーマンスが期待できそうだ。

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