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“遅れてきた大物”デゼルは1歳時の骨折試練乗り越えたポテンシャルの高さが光る デビュー71日、史上最短3戦目でのオークス制覇はあるか

2020年5月21日 16時12分

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坂路で追われるデゼル=20日、栗東で

坂路で追われるデゼル=20日、栗東で

獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」

 オークスで人気しそうなデゼルはフランスの名牝アヴニールセルタンの1番子だ。デビューにこぎ着けたのは年が明けた3歳の3月。勝てばデビューから71日、キャリア3走目、ともに史上最短オークス制覇という記録がかかることになった“遅れてきた大物”だ。
 もちろん狙って目指すような記録ではない。クラシック級の期待がかかる良血が、2歳G1を眼中に置かないレベルの晩秋にデビューすることならしばしばある。例えば距離適性が長めの馬で、時期が進まないと適鞍がないといったケースが挙げられる。でも、年明けまで意図的にデビューをずらすことはない。
 乗り越えなければならない試練があったために、このタイミングになった。1歳の7月。競走馬としての基礎体力を培う時期だ。夜間放牧による同世代同士を集めた運動で、左脛(けい)骨遠位に骨折が見つかった。脛骨は読んで字のごとし「すねの骨」だ。飛節の直上に位置する。「遠位」は体幹から離れた方向のこと。飛節のすぐ上にひびが入った。
 すでにクラブの募集では出資決定まで手続きが進んでいたが、申し込んだ会員との出資契約もいったん不成立の取り扱いとなった。(治癒して同年12月に再募集)。
 エックス線写真が公開されているわけではないので診断レベルでの詳細は不明だが、競走馬の骨折部位としてはまれな症例。総じて経過は良好だったようだ。運動再開後にしばしば、反対側である右飛節に浮腫を認めることがあったようだが、しばらく左をかばっていたことによる代償性のものだろう。友道師は「むしろそちらのケアが大変だったようだ」と述懐する。
 そうした経緯があって友道師も「秋にはよくなる」と長い目で見ていたようだ。デビューがずれ込むケースにはしばしば運動負荷への耐性が低く連続して追えない「体質の弱い馬」もいるが、この馬はあてはまらない。デビューがずれ込んだのは骨折治療にあてた時間の分、そのままスライドしたもの。2冠目に間に合ったのは、ポテンシャルの高さを示している。

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