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並べない、走る魚屋奮闘 浜松の2代目が売り方を改革 

2021年9月21日 05時00分 (9月21日 09時46分更新)
冷蔵ケースに魚は並べず、作りたての海鮮丼を客に届ける2代目の木野伸哉さん(左)と母より江さん=浜松市南区新橋町で

冷蔵ケースに魚は並べず、作りたての海鮮丼を客に届ける2代目の木野伸哉さん(左)と母より江さん=浜松市南区新橋町で

  • 冷蔵ケースに魚は並べず、作りたての海鮮丼を客に届ける2代目の木野伸哉さん(左)と母より江さん=浜松市南区新橋町で
  • 今年春に導入したキッチンカーを運転してイベントなどに出向き、揚げたてのフィッシュサンドを提供する伸哉さん=本人提供
 店頭の冷蔵ケースに刺し身や切り身は並んでいない。でも、開店直後から客足が途絶えることはない−。浜松市南区新橋町の鮮魚店「サンフィッシュ木野」は、二代目の木野伸哉さん(37)に代替わりして、九月に十年を迎えた。父・勝美さん(72)が守ってきた従来の販売スタイルを変え、若い世代にも魚を食べてもらうための挑戦を続けている。二代目は、並べない、走る魚屋さんだ。 (久下聡美)
 「イカは刺し身? それともそのまま?」。昼前の時間帯、店には伸哉さんと客の声が響く。店頭に鮮魚は並べず、注文を受けてすぐにさばく。「新鮮な魚をお客さんの目で確かめてもらいたいから」。売り場と調理場はガラス戸で仕切り、足元まで見通せる。アマエビは一匹から、刺し身の盛り合わせや「デコレーション寿司」など客の要望を第一にする。
 多くの客が買い求めるのは魚だけではない。料亭で板前をしていた伸哉さんが作る「海鮮丼」(五百五十円)や、ホッケの干物とエビフライなどが日替わりで入る弁当「木野弁」(同)は開店直後に売り切れる。「今でこそお客さんが来てくれるが、以前は売れ残った海鮮丼を両親と食べることもあった」と振り返る。
 コロナ禍のおうち需要の増加で売り上げは好調。今年三月にはキッチンカーを導入した。写真共有アプリ「インスタグラム」で告知をして週末のイベント会場に出向き、揚げたてのキンメダイやサクサクのアジフライドッグなどを販売する。
 約五十年鮮魚店を営んできた勝美さんは、若い世代の魚離れを肌で感じる。厚生労働省が昨年公表した「国民健康・栄養調査」でも、二〇〇八年と一八年の魚介類の摂取量変化率は全世代で減少。特に二十代と四十代はマイナス27%に達し、代わって肉類が増加した。共働き世帯が増え、料理に時間をかけられなくなったことも要因のようだ。「尾頭付きの魚を一匹買い求め、家で魚をさばいて煮付けを作る人はずいぶんと減った。すぐに食べられる魚料理に調理して、お客さんに提供する今の売り方が時代に合っている」と、勝美さんは息子の挑戦を見守る。
 両親とスタッフの三人で開業した小さな魚屋さんは、親子三人が支え合い、魚の魅力を伝えている。定休日は月曜と火曜。二十二日は臨時休業。(問)同店=053(449)0015

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