本文へ移動

【北の富士コラム】喜び勇んで攻め込んで土俵下まで転げ落ちた正代。ひと言だけ言わせてもらう。少しは考えたらどうだ

2021年9月20日 05時00分

このエントリーをはてなブックマークに追加
翔猿(右)を押し倒しで下した宇良

翔猿(右)を押し倒しで下した宇良

  • 翔猿(右)を押し倒しで下した宇良
  • 琴ノ若(上)に上手投げで敗れた正代=両国国技館で
◇19日 大相撲秋場所8日目(両国国技館)
 中日は熱戦が多かった。前半戦では翔猿と宇良の、どんな手が飛び出すのか分からない一番が人気であった。例によって、宇良は仕切り線の後方に両手をついて待っている。これは宇良が考え抜いた末の最良の作戦だろうから、思う存分にやると良い。
 対戦相手の翔猿も変則的な相撲で定評のある力士。軍配が返って、立ち上がるとすぐにお見合いを始める。それだけで場内は大喜びである。両者は一度も組み合うことなく押したり引いたり。もし、他の力士がこんな相撲を取ると審判の親方から「何やってるんだ」としかられるところだ。
 体勢の低い宇良が思い切ったように押し込んで、うるさい翔猿を退けた。相撲は勝ったが、宇良は少し膝を気にして土俵を下りたが大丈夫か。これで宇良に休場でもされたら大変である。
 休場していた豊昇龍が中日から再出場し、逸ノ城との取り直しの熱戦を制して心配を払拭(ふっしょく)した。やはり、若いということは素晴らしい。御嶽海は明生を会心の相撲で一蹴した。ゴツンとばかり、ものすごい頭からの当たりで一気に押して、明生の押し返すはなをタイミング良くはたきこんだ。
 こんなにいい相撲が取れるのに、7日目の逸ノ城戦はいったい何だったのか。あまりにもむらっ気が激しすぎるようだ。テレビ解説の豪栄道君(武隈親方)が遠慮気味に、そのむらっ気の話を指摘していたが、実にもったいないことだ。まだ2敗だから優勝の可能性は残されている。
 一方、独走していた照ノ富士は、玉鷲の左からの変化とのど輪の猛攻に土俵際でのけ反りながら必死に残し、やっとのことで逆転勝ち。まさかの変化に大きく体勢を崩して万事休したと思われた照ノ富士は、執念で残したといって良いだろう。まさに、九死に一生の一番だった。
 玉鷲の思い切った作戦は見事に当たったかに思われたが、惜しいことだった。これが大魚を逃したということか。照ノ富士は今場所初めての危ない相撲となったが、この一番を乗り切って、一層自信を深めたに違いない。
 そんな照ノ富士とは対照的なのが正代である。初顔の琴ノ若に対して左を差し、喜び勇んで攻め込んで、琴ノ若の右からの上手投げに土俵下まで転げ落ちた。私はもう文句を言う気力もないが、ひと言だけ言わせてもらう。少しは考えたらどうだ。相撲は2人で取るものである。
 琴ノ若はよく冷静に回り込んだ。えらい!よくやった、おじいちゃん(元横綱琴桜)が喜んでいるよ。
 それでは、今夜は何を食べようかな。名古屋から送ってもらったウナギでも食べよう。(元横綱)
おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ