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GO FOR KOGEI 北陸3県の5会場 二つの特別展 工芸の可能性

2021年9月18日 05時00分 (9月18日 10時45分更新)
「unclear−04」=富山県高岡市の勝興寺で

「unclear−04」=富山県高岡市の勝興寺で

  • 「unclear−04」=富山県高岡市の勝興寺で
  • 牟田陽日「渾々と」=福井県越前市の大滝神社・岡太神社で
  • 田中信行「Inner side−Outer side(連続する生命)2021−N」
  • 佐々木類「水の記憶」=石川県小松市の那谷寺で
  • 皆川明×ピーター・アイビー「欠片が濾過する光の境界」=金沢市のギャラリーSKLoで

 寺社空間と組み合わせ / 現代の用途 製品化試み


 一口に工芸といっても表現や用途はさまざまだ。伝統的な手法を用いながら現代アートへの指向がみてとれる作家たちがいる一方、手仕事としての工芸が現代のデザインによって製品として新たな価値を生んでいる。北陸三県の五会場で二つの特別展で構成する「GO FOR KOGEI」展は、工芸の可能性を改めて考えさせる。十月二十四日まで。 (松岡等)
 特別展Ⅰ「工芸的な美しさの行方、工芸、現代アート、アール・ブリュット」は、歴史的文化財にもなっている寺社を会場にすることで「現代アートとしての工芸」という側面を際立たせる。二十人の作家が参加し、総合監修・キュレーターを務めた秋元雄史・練馬区立美術館館長は「素材と物の扱い方を上手、下手を超えて見てもらいたい。建築空間にどう働きかけているかも見どころ」という。
 「平成の大修理」を終えたばかりの勝興寺(富山県高岡市)では、ガラス作家の横山翔平が台所の土間に吹きガラスの手法による巨大なオブジェを出現させた。陶芸家の中村卓夫は床の間の琳派(りんぱ)の絵から刺激を受け、「竹林をイメージした」という絵付けした陶板と建築足場を組み合わせたインスタレーションを展開した。
 那谷寺(石川県小松市)では漆造形作家の田中信行が、アミニズムともつながる信仰から刺激を受けた漆黒の新作を制作し、違和感なく土間に置いた。茶室ではガラス作家の佐々木類が、蓄光ガラスに雪の記憶を閉じ込めた作品を出品し、暗闇に青緑色の光を浮かび上がらせた。
 紙の神様をまつる大滝神社・岡太神社(福井県越前市)脇の十一面観音堂では、九谷焼作家の牟田陽日(ようか)が、独特の色絵を描いた布の上に磁器とガラスによる馬のオブジェを配置した。巨木が並ぶ参道には陶芸家の桑田卓郎が陶土のオブジェを並べた。
    ◇
 これに対して特別展Ⅱ「工芸×Design」はさまざまな分野で活躍する十三人のディレクターの提案を十三人の工芸作家が製品化を試みる企画展。洗練された現代的デザインによるユニークな工芸の試みが示された。
 会場の一つ金沢市のギャラリー「SKLo」には、ファッションデザイナーの皆川明と米国出身のガラス作家ピーター・アイビーが半透明な蚊帳用の布にガラスを縫い込んで独特の光を室内に入れるスクリーンを制作して展示。このほか伝統的な組みひもでつくったギターストラップ、越前和紙の服、ステンレスや真ちゅう製の持ち運びできる照明器具などが制作過程とともに並んだ。 =敬称略

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