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【北の富士コラム】盛り上がりに欠ける…と思っていたら宇良が160キロ大栄翔を軽々持ち上がる怪力には驚いた

2021年9月17日 05時00分

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宇良(右)が送りつり出しで大栄翔を破る

宇良(右)が送りつり出しで大栄翔を破る

◇16日 大相撲秋場所5日目(両国国技館)
 場所入りすると、北勝富士と豊昇龍の休場を知らされた。きっと外国人なら「オーマイゴッド」「何てこった」と言うだろう。人気力士や看板力士が次々と姿を消していく。相撲内容も引いたりはたいたり、手に汗握るような熱戦もない。
 これではお客さんがあくびをしたり、眠ってしまうのも無理はない。私も解説しながらなんとか盛り上げようとするのだが、私の技量では無理というものだ。5日目はラジオの解説で助かった。相変わらず単調な取組が続く。とにかく一方的な相撲が多すぎる。すぐ前に落ちる。これでは銭はもらえません。
 後半に入って宇良と大栄翔の一番で、ようやく場内が盛り上がった。宇良は低い体勢で大栄翔の押しをかいくぐり、深くもぐって大栄翔を抱きかかえて、高々と持ち上げた。つるというより、抱え上げたと言った方がいい。大栄翔の体重は160キロぐらいはあるはずだが、軽々と持ち上げ、送りつり出した。
 この決まり手は朝青龍と千代の富士が決めたことがあるらしい。2人とも怪力で鳴らしているだけに、さもありなんと思うが、宇良の怪力には驚いた。握力は計器を振り切るほど強いらしいが、腕力も相当なものだ。宇良はこれからも怪力を利した相撲を時々は見せてもらいたい。
 北勝富士は膝の古傷を再度やってしまったようだ。照ノ富士の圧力がいかに強かったということだろう。豊昇龍はへんとうが炎症したとか。つまり、高熱のため様子を見て再度出場するらしい。
 昔の力士は40度の熱でも、土俵の上で死ぬなら本望とはってでも出場したものだ。師匠の方もそのぐらいの熱で休むなと一喝したものだが、今の時代でそんなことをすると大問題になろう。私のような時代遅れの産物はもう出る幕はない。
 もう少し頑張って続けよう。御嶽海は私の見立て通り好調である。気迫もある。私の目に狂いはない。照ノ富士を倒すのは御嶽海しかいない。貴景勝も4日目の白星が効いてようやく自分の相撲が取れたようだ。6日目も勝って星を五分に戻して気分一新、また初日を迎える気持ちで頑張ればなんとかなる。
 正代は恐ろしいような相撲を取ったものだ。若手の若隆景をかち上げ一発で腰を砕き、速攻で一気に突きだした。私はどうやら正代を怒らせてしまったようだ。こんなすごい立ち合いが毎日できたら優勝争いに参加することになるだろう。しかし、信用するにはまだ早いかもしれない。
 照ノ富士は全勝を守ったが、かなり手を焼いてしまった。相手十分の左四つになって半身にさせられてしまった。霧馬山は絶好の体勢にはなったが、攻めるところまではいけない。それは照ノ富士の腰の重さが物を言っている。だから、せっかくの右上手を自分から離し、巻き替える手段に出るしかない。
 これで労せずして右四つ十分になった照ノ富士は胸を合わせ引きつけて寄り切った。まさに横綱相撲である。相手十分になっても動じない。これが「不動心」というのだろう。しかし、熱戦ではあった。霧馬山はよく戦ったと思う。この一番でいくらか気分は良くなった。やはり相撲は楽しいものだ。
 さすがに腹が減った。ちょうど友達からすしの差し入れがあった。好物ばかりだ。どういう訳か場所中になると、差し入れや各地方からおいしいものを送ってくれる。
 ありがたいことです。(元横綱)
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