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天体観察の機会 継続を 廃止の富山市天文台・代替施設 進展なし

2021年9月17日 05時00分 (9月17日 10時28分更新)
富山市天文台で過去に開かれた観察会の様子=県天文学会提供

富山市天文台で過去に開かれた観察会の様子=県天文学会提供

愛好家ら早期整備 要望

 天文愛好家らでつくる「富山県天文学会」は、三月に廃止された富山市天文台(同市三熊)に代わる新たな天体観察施設を早期に整備するよう、富山市に求めている。市では約二年前に新施設の整備計画が持ち上がったが、目立った進展はなく、会員らは「市民が天体観察する機会が失われてしまっている」と懸念する。 (山岸弓華)
 天文台は一九五六年に呉羽山に開設され、九七年に同地に移転した。当時では国内最大級の口径一メートルの反射望遠鏡を備えていた。同会は天文台でボランティアで解説を行うなど、天体への理解を深める活動に長年取り組んできた。会員の須藤健太郎さん(44)は「天文台の屋上で、和気あいあいと星空を観察していた。星に興味を持つ人を育てる上で、大事な施設だった」と振り返る。
 だが、二〇一八年九月、台風の影響で天文台と駐車場を結ぶ遊歩道が陥没し、長期休館に突入。さらに望遠鏡の故障が見つかり、修理費として一億円以上かかることが判明した。来館者数も年々減少していたことから、当時の森雅志市長は二〇年、「身の丈を超えている」として天文台の復活を否定。休館から再開することなく、廃止された。
 市は休館に入った一八年十二月、市科学博物館に隣接する城南公園か、富山城址公園に新たな観察施設を整備する方針を示した。だが、二年以上経過した現在も、着工時期や事業費などは決まっていない。
 こうした状況を受け、学会は八月、新施設の早期整備を求める要望書を市に提出した。須藤さんは「このまま何の動きもないまま、フェードアウトしていってしまうのが怖かった。何らかの声を上げなければと思った」と語る。
 要望書では、天文台の不在は、天文現象の収集や、天文教育の普及に支障を来すと指摘。三五年には県内で約三百年ぶりに皆既日食が観測できるため、須藤さんは「それまでに間に合うよう、設置に向けた話が進んでほしい」と期待する。

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