本文へ移動

<美のありか> 「袋法師絵巻(部分)」(サントリー美術館蔵) ばかばかしさに人間味

2021年9月17日 05時00分 (9月17日 05時00分更新)
一巻 江戸時代 17〜18世紀

一巻 江戸時代 17〜18世紀

  • 一巻 江戸時代 17〜18世紀
  • 袋に隠された法師(部分拡大)
  • 「放屁合戦絵巻(部分)」 一巻 室町時代 文安6年(1449)写 サントリー美術館蔵
 絵の中に、おかしな顔がのぞいている。
 一見、優雅な王朝絵巻。まず目を引くのは、女主人らしき高貴な女性だ。こちらを向いた顔には、みだれ髪がはらりと落ちかかる。屏風(びょうぶ)で囲われた、一段高い畳に伏せっている。女性の背後には、紅葉模様の赤い大きな袋。視線を下げると…。「え?」と、思わず声が出た。誰、これ。
 「ヌーボーとした表情で、人間というより妖怪のよう。どこか憎めません」とほほ笑みながら解説するのは、サントリー美術館学芸員の久保佐知恵さんだ。
 この絵は、南北朝時代に成立したとされる「袋法師絵巻」の一場面で、日本中世の三大性愛絵巻のひとつ。原本は残っていないが、本作を含めて江戸時代に数多くの模本が作られた。
 絵の右側に目をやると、僧侶姿の若い男が、うろたえる侍女を前に寝所に侵入している。絵巻は漫画のコマのように、右から左に展開していく。つまり、この侵入した男=法師が、袋からのぞく顔の主だった。
 さて、絵を読み解いていくと−。女主人は左手を胸にあてている。絵に添えられた詞書(ことばがき)には、「胸が痛いから早く寝たい」。侍女の一人は灯火に手をやっているので、時刻は夜と分かる。実はこの女...

中日新聞読者の方は、無料の会員登録で、この記事の続きが読めます。

※中日新聞読者には、中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井の定期読者が含まれます。

関連キーワード

おすすめ情報

文化の新着

記事一覧