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オーソクレース「地力が損なわれていないなら」骨折の種類による”復帰率”も馬券検討に考慮を

2021年9月17日 06時00分

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サンダーブリッツと併せて追われるオーソクレース(左)

サンダーブリッツと併せて追われるオーソクレース(左)

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 オーソクレースがセントライト記念から戦線復帰する。デビュー当初から「重賞のひとつやふたつ勝って当たり前」というレベルの素質を垣間見せていただけに本来の素質での比較なら突出した優駿だ。ただし、「地力が損なわれていないなら」という前提について考えておく必要がある。春を棒に振った骨折の種類が気掛かりだ。
 皐月賞回避に際して発表されたのは「右脛(けい)骨骨折」。いわゆるすねの骨だ。後肢で、体幹にめり込むような位置で後方に屈曲しているのが膝関節。これと飛節を結ぶ部位の前面に位置するのが脛骨だ。
 競走馬で骨折というと、最も多いのはいわゆる前膝、腕節だ。人の手首にあたる部分。前蹄が着地した際、自重による衝撃を受け止めきれずに骨が破綻するパターンもある一方、前肢を振り出したときに、関節前後および内部で、骨同士が衝突して欠けるというパターンが考えられている。このケースで欠けるのは骨端。骨全体の形状として、負重に関わるほど問題を生じることは比較的少ない。
 対して後肢は、疾走時に骨同士が衝突して欠けるといったことは起こりにくい構造をしている。したがって、後肢の骨折の多くは、後蹄の着地衝撃に骨が耐えられず起こるものが主流だ。
 2011年にJRAが研究発表した統計では腕節骨折の競走復帰率は79%と高く、賞金獲得水準や複勝率への影響もかなり小さい。この統計では脛骨骨折は対象となっていないが、同様に着地衝撃によって起こると考えられる管骨骨折では復帰率が51%と低く、賞金水準や複勝率は統計的に有意差がつくほど明確に低下している。脛骨と同じ後肢で、骨折メカニズムが脛骨や管骨と共通する部分の多いと考えられる第3中足骨は復帰率がさらに低い46%。獲得賞金水準も有意に低下する。
 オーソクレースはデビュー当初、圧倒的に強かった。華麗な復活劇を見たいと心情的には思う。しかし、こと馬券検討の上では、見送り、あるいは人気するのであれば逆らって組み立てるということも十分ありだと、考えている。

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