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中日春秋

2021年9月16日 05時00分 (9月16日 05時01分更新)
 中米エルサルバドルのブケレ大統領は一昨年、三十七歳の若さで大統領選に勝った。就任するとネットに書き込んでいた。「公式に、私は世界一クールな大統領です」。デジタルの世界に通じ既存の権威に挑む。そんな新世代の改革派のアピールであったようだ
▼最近そのクールぶりが、世界に少々驚きをもたらしている。暗号資産と呼ばれるビットコインを国の法定通貨にしてしまったという。国の信用に依存せず、難しいコンピューターの技術を使って管理される仮想通貨である
▼公式に国の通貨になった。世界初だ。そんなことができるのかとも思うが、買い物だけでなく、納税も可能になったと報じられている
▼米国への出稼ぎ労働者が多い国である。ビットコインなら、送金の手数料が抑えられる。国内に銀行口座を持たない人も多い。地域の言葉で「クール」を意味する「チボ」と名付けられたアプリを使うそうだが、スマートフォンがあれば、取引ができるようになる。喜ばれると踏んだのだろう
▼アプリの不具合が伝えられる。不安や反発もあるらしい。問題はこれからともいう。投機の対象でもある暗号資産は価値が変動する。普及後、大きく下がった際に混乱が起きないか。予測できない面も大きい
▼国が実験台に乗っているようで、心配になる。クールとはどれほどありがたいことなのかを教えるようでもある。

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