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地域の防災力 「消防団」は欠かせない

2021年9月16日 05時00分 (9月16日 05時00分更新)
 自然災害の激甚化に対し、地域防災の一翼を担う消防団は団員のなり手不足が続く。事態を重くみた消防庁長官は本年度、待遇の改善など抜本策を全国に通知した。
 消防団員は江戸時代の「町火消し」がルーツとされる特別職の地方公務員。平時は別に仕事などを持ちながら、火事や災害時に出動し消防職員らを補佐する。
 消防庁の調査によると、報酬は平均で年二万八千〜三万八千円。別に出動一回あたり二千四百〜四千円が支給されるが、時に危険も伴う激務に見合う額とは言い難い。地域社会を愛する気持ちが活動の支えと言えよう。
 団員数は一九五〇年代には二百万人台だったが、最近は年一万人前後の減少が続き、八十一万人台まで落ち込んだ。少子高齢化や自営業者の減少が響いたという。
 消防庁は、仕事や生活に影響が出ない範囲内で防火診断や広報などだけ担う団員の採用も推奨し、三年前から大規模災害時のみ出動する団員も生まれた。若者や女性に的を絞った啓発や協力企業への税制優遇などの策も講じてきたが、なり手不足の背景には、昔ながらの体育会気質や年中行事が敬遠されている面もあるようだ。
 団で報酬をプールして半強制的な飲み会や遊興費に充てたり、果ては、活動実体がない団員の報酬を団で受け取る不正も各地で報告される。「報酬は個人支給」が原則ながら、昨年時点で、なお四割前後の自治体が「慣例」などを理由に団への支給を続けている。
 消防庁長官の通知は、「このままでは地域防災力が低下し、ひいては地域住民の生命・身体・財産の保護に支障をきたす」との強い危機感を示し、本年度中に報酬の増額や、個人への報酬支給を徹底するよう求めている。
 消防庁によると、消防団員の出動は十年前と比べ、「火災」が二割減ったのに対し、「風水害」は三倍近くに増えた。激甚災害が恒常化する中、消防団の存在感がいっそう増すことは言をまたない。
 災害前後の情報収集や避難誘導、捜索活動など、地域に密着した消防団員だからこそ、担える役割は少なくない。静岡県熱海市で七月に起きた土石流災害では「大規模災害団員」が一カ月近く活動した実績もある。団員の処遇改善を図るとともに、その存在意義を再認識して、地域を挙げ、消防団を守っていきたい。

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