本文へ移動

<学校ICT時代 コロナ下のオンライン授業> ハイブリッド、岡崎市の選択 

2021年9月16日 05時00分 (9月16日 05時00分更新)
スタンドに固定されたタブレット端末のカメラに映る位置で、意見を発表する児童と、カメラの画角に入るように黒板の3分の1に収められた板書=愛知県岡崎市の広幡小学校で

スタンドに固定されたタブレット端末のカメラに映る位置で、意見を発表する児童と、カメラの画角に入るように黒板の3分の1に収められた板書=愛知県岡崎市の広幡小学校で

 新型コロナウイルスのデルタ株により小中学生の感染者が増える中、公立小中学校での対応は自治体ごとに異なっている。人口約三十八万人の中核市・愛知県岡崎市では、学級を二つに分け、オンライン授業と対面授業を同時に行うハイブリッド式を、一日から全小中学校で実施した。市内の小学校でクラスターが発生する非常事態の中、ハイブリッド式を選んだ理由とは−。 (宮崎厚志)

感染対策と両立

 「全ての小中学校でオンライン授業ができるか?」
 安藤直哉教育長(60)がそう切り出したのは、愛知県で緊急事態宣言が発令され、同時に岡崎市の小中学校で二学期が始まる八月二十七日の朝だった。
 市内約千二百学級からの同時接続。回線網の強化には力を入れてきたが、この時点での計算上、通信速度に余裕はなかった。それでもGIGAスクール戦略係の川本祐二係長(49)は「できます」と即答。九月一日から各学級を二つに分け、半分はオンライン、もう半分は登校するハイブリッド式にすることが決まった。
 三分の一ずつの分散登校とした八月末の三日間で、家庭や教員に説明し、準備を進めた。ただその間、ある小学校でクラスターが発生していた。他の学校からも報告が届き始め、九月一日には市内の小中学生の感染者は二十人以上となった。
 緊張が走る中、全面オンライン授業とする選択肢もあった。そうしなかった理由は、夏休み明けの時期に子どもが自らを追い詰めてしまう、いわゆる「九月一日問題」。新型コロナによる子どもの精神面への影響も懸念した安藤教育長は「全員と面談をしてくれ」と各校に指示した。その一週間前には、約三千人の学校関係者がワクチン接種を済ませていたことも大きかった。
 理由はもう一つあった。岡崎市では近年、「子ども同士が関わり合い、刺激し合うことが学校で学ぶ意義である」という考えのもと、「学び合い」と呼ばれるグループ学習を取り入れてきた。分散登校により教室内で子ども同士が二メートルの距離を保ち、換気を怠らなければ、感染対策と目指す学びの両立はできると踏んだ。
 現場の教員もこの挑戦を自らの成長の機会と捉え、意欲的に取り組んだ。
 九日、同市の広幡小学校で実施された授業では、一方通行的な生中継ではなく、オンラインの子と教室の子が関わりを持てるような工夫が随所にあった。教員はカメラの画角に入るよう黒板を三分の一ずつに区切った板書を心掛け、教室の子どもたちはカメラの前で顔を見せながら意見を発表。オンラインの子の音声がハウリングする問題を解決するため、教頭は外付けのスピーカーを用意した。
 初日は重かった回線も、翌日には増強されスムーズに。川本係長は、突然の一斉休校で限られた対応しかできなかった一年半前からの、大きな前進を実感する。「今回すべての教員がオンライン授業に取り組んだことで、今後も感染状況に応じて、すぐに切り替えることができる」

段階的に対面へ/家庭学習も 緊急事態宣言延長 各自治体の対応は

 緊急事態宣言の延長に合わせ、オンライン授業を取り入れてきた各自治体の対応は分かれている。岡崎市は「この二週間、新たな学級閉鎖はなく、市内の感染状況が収まってきている」として、十三日から通常登校に戻した。一方、同様のハイブリッド式に取り組んだ岐阜市は二十六日まで継続する。
 三重県四日市市は、全小中学校で原則自宅学習とし、全面的にオンライン授業を行ってきた。十六日から段階的に通常授業に戻していく。感染リスクを最小化した一方で、各学校や家庭の通信環境に差があり、プリント学習中心に切り替えた学校もあった。
 東海地方で最も感染者数が多い名古屋市では、原則全員が登校しているが、給食を取って下校する短縮授業や部活動の中止で対応してきた。十三日以降もこれを継続しつつ、端末の持ち帰りを進め、家庭学習に活用する方針。帰宅後にオンライン授業を実施する学校や学年もある。

関連キーワード

PR情報

学ぶの新着

記事一覧