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打者との勝負は球を放す前から…柳の投球の極意は『奥行き』にあり 始まりは3年5カ月前の“陽岱鋼への死球”

2021年9月12日 10時47分

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4回裏2死二、三塁、代打陽岱鋼を空振り三振に仕留めた柳

4回裏2死二、三塁、代打陽岱鋼を空振り三振に仕留めた柳

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇11日 巨人4―5中日(東京ドーム)
 柳VS陽岱鋼。この対戦を見るのを、僕は3年5カ月待っていた。4回、2死一、二塁。5球目が暴投となり、走者は進んだが、6球目のカットボールで空振り三振に打ち取った。
 2人の対戦になぜ僕が感慨を覚えるのか。それは前回、2018年4月3日(ナゴヤドーム)での因縁を記憶しているからだ。2年目のシーズン初登板だった柳は、1回、1番・陽岱鋼の左手首にいきなり死球を当てた。負傷退場。左手甲の骨折。ただ、長期離脱に追い込まれた陽岱鋼には申し訳ないが、これだけならよくある話だ。僕が覚えているのはそのときの柳の投球フォームである。1軍打者にも通用する球威を求めて、この年の彼はワインドアップモーションに挑戦していた。試行錯誤の末、迎えた自身の初登板。ダイナミックに振りかぶった柳だが、最初の打者にぶつけてしまった。
 柳にとってはプロ初の与死球。「当てたこととは関係ありません」と柳は言うが、この試合はおろか、2度と振りかぶることはなかった。わずか5球のレア柳。しかし、挑戦と失敗の歴史があるからこそ、その先も技術を磨いた。
 ノーワインドアップをへて、今のスタイルは常時セットポジション。ただし、走者がいない時でも打者の虚を突くクイックモーションを織り交ぜる。多くの投手はわずかなことでフォームのバランスを崩してしまうが、柳は自在に操れる。恐らくは球界トップクラス。打者のタイミングをずらし、カウントを稼ぐ。ある意味ではそのスタート地点が陽岱鋼への死球だった。
 「結局、あの次の年の交流戦あたりで(ノーワインドアップも)やめたんです。(走者がいなくても)クイックで投げたり、間を使うためですね」
 打者との間合いを詰めたり伸ばしたり…。柳の投球の極意は奥行きにある。打者との勝負は球を放す前から始まっているのだ。

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