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3000人のランナーとつながる川内優輝「世界の人脈を駆使し本当の情報を発信することも仕事」プロは社会的影響力大きい

2020年4月8日 10時48分

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今年2月2日の丸亀国際ハーフマラソンで、苦しそうな表情でゴールする川内優輝

今年2月2日の丸亀国際ハーフマラソンで、苦しそうな表情でゴールする川内優輝

  • 今年2月2日の丸亀国際ハーフマラソンで、苦しそうな表情でゴールする川内優輝
  • 「公務員ランナー」時代の川内(2012年、埼玉県立春日部高校で)

電話インタビュー

 プロランナーの川内優輝(33)=あいおいニッセイ同和損害保険=が7日、本紙の電話インタビューに応じた。新型コロナウイルス感染拡大により政府から緊急事態宣言が発令されるなど、スポーツにとどまらず日常生活でも経験したことのない困難が待ち受ける中、アスリートとして、そしてなによりも1人の社会人、人間としてどう取り組み乗り越えるか、思いの丈を語った。
 世界中を襲うコロナ禍の影響は、もちろん百戦錬磨のプロランナーをも直撃している。アスリートにとって最も大事な日々の練習はどうしているのか。川内は「集団練習や低酸素ジムは避けて、基本的には個人もしくは妻とジョギングするぐらいで多くても2人のグループ。競技場も閉鎖されているので、公園や坂ダッシュが中心。どちらかというと競技力向上というよりは健康、体力、免疫維持のためにやっている」と現状を明かす。
 この日は緊急事態宣言も発令された。屋外での運動を強制的に禁ずるものではないが、発令以前から練習中に心掛けていることがある。「今まで通り社会的間隔、ソーシャルディスタンスを意識して集団は避けて人に迷惑がかからないよう、道の左端を散歩している人がいれば右端から距離をつけて追い抜くなど、なるべく人と接しないように練習を続けていくつもり」と話す。
 20日に予定されていたボストン・マラソンをはじめ、春シーズンに予定されていた大会はほぼ中止か延期となった。それだけではない。プロとして大事にしていた全国各地での講演活動も軒並み中止を余儀なくされている。収入に直結するのはもちろん、何よりも走る場がない、プロとしての存在意義に関わる問題だ。当初は不満に思うこともあったというが、今は別のことを考えている。「気を使ってでも運動できるだけまし。世界のランニング情勢を調べたらもっと大変なことになっていた」。これまで30カ国以上を回り、会員制交流サイト(SNS)を含めれば約3000人もの外国人ランナーとつながっている川内だからこその気付きだった。実際に自身のツイッターでは各国・地域のランニング事情を一覧にして公開、拡散している。「自分に何ができるかを考えた時に、情報を収集、分析して伝えることだった」と狙いを明かす。
 その上でアスリートだから、プロだからこそ意識していることがある。「アスリート、プロは社会的影響力が大きいので社会的不安をあおってはいけない」と社会あっての選手、スポーツだと戒めをすること。もちろん逆にやるべきだと考えていることもある。「スポーツは本来国境を越える力がある。五輪もそのためにある。世界の人脈を駆使して本当の情報を集めて発信することも仕事だし、そんなに難しく考えなくても今の暗くなりがちな世の中でどうやって明るく過ごせるか、昔の遠征先の美しい風景写真や楽しかった思い出を発信することもできること。経験に基づき社会を元気にする必要がある」と訴える。
 東京五輪が1年延期となり、川内が大きな目標に置いていた陸上の世界選手権も2022年に延期の方向で動いている。だが今見ているのはそこではない。
 「コロナが終息して移動の自由が戻ったら、もともとやってきた活動、今大変になっている地域や観光を盛り上げること、日本中でレースに出るといった活動をもっともっとやっていきたいと心に決めている」。日本が、世界が日常を取り戻すこと、心からランニングを、スポーツを楽しめる日が戻ってくることを願い行動する。それがオンリーワンのプロランナー川内優輝としての姿だ。
 ▼川内優輝(かわうち・ゆうき) 1987(昭和62)年3月5日生まれ、東京都世田谷区出身の33歳。175センチ、62キロ。埼玉・春日部東高から学習院大に進み、関東学連選抜選手として箱根駅伝に2度出場。2009年に埼玉県庁に入庁し、「公務員ランナー」として名をはせる。11年大邱、13年モスクワ、17年ロンドン、19年ドーハの各世界選手権マラソン代表。自己ベストは13年ソウル国際マラソンの2時間8分14秒。18年3月にはフルマラソンを2時間20分以内で完走した最多記録(78回)で、ギネス世界記録の公式認定証が贈られた。同年4月にはボストンマラソンを日本人として31年ぶりに制する。19年3月に埼玉県庁を退職し、同年4月からプロ転向。同年12月にフルマラソン完走100回を達成した。

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