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【石川】諦めたら自壊する 権力取材の壁 どう挑む 一般の組織も同じ

2021年9月7日 05時00分 (9月7日 11時18分更新)
著書「自壊するメディア」について語る五百旗頭幸男さん=金沢市で

著書「自壊するメディア」について語る五百旗頭幸男さん=金沢市で

石川テレビ・五百旗頭さんが著書

 石川テレビ放送(金沢市)のドキュメンタリー映画監督五百旗頭(いおきべ)幸男さん(43)初の著書「自壊するメディア」が八月に、講談社から出版された。東京新聞(中日新聞東京本社)の望月衣塑子記者との共著。二十日の発売から四日間で重版が決まるなど早くも話題を呼んでいる。(高橋雪花)
 五百旗頭さんはチューリップテレビ(富山県高岡市)で調査報道を重ね、富山市議の政務活動費不正を追及し、その過程を映像でとらえたドキュメンタリー映画「はりぼて」を通して、社会問題に迫ってきた。昨年四月に石川テレビに入り、ドキュメンタリー制作部と報道部の副部長として制作を続けている。
 今回の本は、五百旗頭さんが体験を基に、報道現場に横たわる問題をひもとくほか、政権を取材する望月記者との対談を収める。「はりぼて」に感銘を受けた望月記者が昨年、五百旗頭さんを取材した縁で交流が始まり、出版社から声が掛かった。インターネット通販大手「アマゾン」では九月六日現在、新聞マスメディアのカテゴリーで売れ筋一位だった。
 今回切り込んだのは、社内外のしがらみから、為政者などへの批判を避けるマスコミの現状だ。五百旗頭さんは「楽な方に流れると社会がゆがむ」と話す。例えば、前富山県知事が掲げた立山の山岳リゾート構想について、安全性に疑問を抱いた五百旗頭さんは、担当課長から取材を拒まれたと著書に記している。前知事の新型コロナウイルス対応を批判した際、同僚が県幹部に呼び出され、CM取り下げをにおわされた経験も著書につづっている。
 そのほか、明解さを求めるあまり、複雑な問題を単純に伝える弊害など多くの課題を指摘する一方、「テレビはオワコン(終わったコンテンツの俗語)とは思っていない」とも語る。「テレビ自身が権力化して従来の考えにとらわれているが、解き放てば表現は自由になる」。対談では自由な発想を持つ地方メディアの可能性にも言及している。
 題材はメディアだが「現状を軽々しく受け入れ、諦めてしまったら、何も変えられないのは、皆さんが属している組織にも当てはまるだろう」と話している。
 新書判で百九十二ページ。税込み九百六十八円。全国の書店で販売している。

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