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五輪メダリストが「Uber Eats」配達員に!フェンシング三宅諒「競技続けるには…お金が必要」

2020年4月30日 21時17分

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ロンドン五輪の男子フルーレ団体で銀メダルを獲得し笑顔を見せる三宅諒(右から2人目)=2012年

ロンドン五輪の男子フルーレ団体で銀メダルを獲得し笑顔を見せる三宅諒(右から2人目)=2012年

  • ロンドン五輪の男子フルーレ団体で銀メダルを獲得し笑顔を見せる三宅諒(右から2人目)=2012年
  • ウーバーイーツ

遠征の自己負担67万円「気合入れないと…」

 2012年ロンドン五輪フェンシング男子フルーレ団体で銀メダルを獲得した三宅諒(29)=フェンシングステージ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京五輪延期、練習環境の制限、さらに金銭面の壁にぶつかっている。活動資金を得るため、フードデリバリーサービス「Uber Eats」(ウーバーイーツ)の配達員としてアルバイトを始めた。「スポーツをするためにお金が必要。競技を続けたい気持ちが、本気だということを伝えたい」と語る三宅の思いを聞いた。
 東京五輪の1年延期が決定し、1カ月余り。三宅は動きだした。フェンシングを続けるために、アルバイトを始めた。「ウーバーイーツ」。錦織圭と野性爆弾のくっきー!、続いて黒柳徹子と小松菜奈のテレビCMで有名なフードデリバリーサービスだ。
 その理由は明快だ。とにかくお金がかかる。五輪延期が決定した3月24日、自身のツイッターに日本協会からの請求書をアップした。今冬の1カ月でイタリア、フランス、エジプトで試合や合宿などを行った費用が67万円を超えたという。「これは高い。しばらく払い続けてるけど、これは気合入れないと続けられないな。#自己負担 #突かれる心」と投稿すると、「トップ選手でも自分で払うんですね」や「寄付したい」という反応が寄せられた。

 慶大4年時の2012年ロンドン五輪で、エースの太田雄貴(現日本協会会長)らと、団体では日本初となるメダル(銀)を獲得。卒業後はセイコーに入社した。17年に東京五輪に向けより適した環境を求め、父・正博さんが代表を務めるクラブのフェンシングステージに所属し、個人で活動を始めた。神奈川県のガス会社セガミなど3社とスポンサー契約を結んで、年間約300万円の収入を得ていた。
 東京五輪の延期が決まった一方、五輪代表権レースの再開は未定となっている。練習拠点の東京・ナショナルトレーニングセンターは閉鎖中で、実戦形式のトレーニングは全くできていない。スポンサー契約は、この春で満了となっていた。「五輪のために支援もらっていたので、選考の日程が決まらないまま支援をお願いするのは、無責任になる」。収入はゼロになり、貯金を切り崩しながら生活した。

SNSで発信のきっかけは…

 日本協会によると、代表の遠征費は日本オリンピック委員会(JOC)などからの助成金で、18年度は全体の56%をまかなったが、残りの44%は選手の実力などに応じ、自己負担となったという。「昨年は約150万円を負担した。五輪レースが再開されたとしても、もし助成金などが減るとなれば、約250万円をまかなう必要が出てくると思う」(三宅)。景気悪化により協会のスポンサーが撤退する恐れもあり、昨年度以上の自己負担となる可能性があるのだ。
 また、男子フルーレ選手の場合、世界トップの年齢は27~30歳が多い。脂がのったときに世界で戦うには、社会人として生計を立てる必要がある。協会としても選手へスポンサーを得るためのアドバイスを積極的に行うなど、選手の自立をサポートしているが、協会、選手ともに金銭面に困窮している。
 三宅は数年前から積極的にSNSで発信をしている。きっかけは、ロンドン五輪を機に親交を深めるようになった卓球女子で五輪2大会連続メダリストの福原愛さんのひと言だった。
 「(世間の人たちに)インスタントラーメンを食べないと思われているんだよね。そんなことないのに」
 アスリートをもっと身近にしたい。実像を知ってほしいという思いからツイッターなどのSNSを利用する。

 ありのままの現状を発信した三宅は「コロナ禍の中で、みんなと同じように困っている」とぽつり。アルバイトを始めたのは、大好きなフェンシングをトップレベルで続け、再び五輪のメダルを獲得するためだ。ミクシィが提供するサービス「Unlim」(アンリム)でクラウドファンディングのようなネットを通じた資金集めも始めた。先が見えない状況で、必死にもがいている。
▼三宅諒(みやけ・りょう) 1990(平成2)年12月24日生まれ、千葉県市川市出身の29歳。慶応高から慶大に進み、セイコーを経てフェンシングステージ所属。種目はフルーレ。左利き。2007年に17歳以下の世界選手権個人金メダル。12年ロンドン五輪で団体銀メダル。19年アジア選手権団体金メダル。学生時代は哲学を専攻し「ピストの上の哲学者」を自負する。
◆ウーバーイーツ タクシー配車アプリなどを手掛ける米ウーバー・テクノロジーズ社が2014年から展開しているオンラインフードデリバリーサービス。16年から日本でもサービスが始まった。飲食店のデリバリーを個人に委託するもので、ウーバーイーツに登録されていれば、自社で配達サービスを展開していない店の料理も楽しめることから人気になっている。配達員は登録制で、働きたい時間に働くことができる。
◆東京五輪への道 フェンシングはフルーレ、エペ、サーブルで男女の個人、団体計12種目が実施される。本来は4月4日までの1年間の国際フェンシング連盟(FIE)公式チームランキングによって団体8カ国(1チーム3人)の出場枠が決まるはずだったが中断している(日本は7位)。日本は、団体戦の出場枠を獲得した場合、FIE公式個人ランキング上位2人は自動的に選出。残りの1人は強化本部の推薦で決まる。個人枠しかとれなかった種目は同ランキングなどで決定する。フルーレの三宅は現在、日本選手4番手の39位。

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