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長楽寺住職 再建へ一歩 中能登で16年、本堂と庫裏焼失

2021年9月5日 05時00分 (9月5日 10時58分更新)
新しい本堂を建立する準備を進める長楽寺の本堂跡=中能登町能登部下の長楽寺で

新しい本堂を建立する準備を進める長楽寺の本堂跡=中能登町能登部下の長楽寺で

 「本堂が燃え落ちていく中で、自分一人でも再建してやると決意をしました」。2016年の火災で100年余りの歴史がある本堂と4カ月前に改修したばかりの庫裏が全焼した中能登町能登部下の長楽寺が、24年の完成を目指して本堂の再建工事に入る。北原裕全(ゆうぜん)住職(54)が思いを語った。5日は同寺で本堂建立地鎮祭が開かれる。(大野沙羅)

「寺に新たな命を吹き込んで悩める人の役に立ちたい」

 長楽寺は北陸三十三カ所観音霊場の第二十一番礼所。中世の山岳霊場の聖地だった石動山の別院が始まりとされ、七尾城主畠山氏の祈願所として栄えた。江戸時代に現在地に再興されたと伝わる。
 一六年二月、庫裏から出火し、庫裏と隣接する本堂が全焼した。住職は真っ黒な煙が上がり、炎に包まれる本堂に二、三回飛び込んだが、火が回るのが早く、全てを運び出すのは断念。「後ろ髪を引かれる思いだった。あの時の光景は目に焼き付いて忘れられない」。本尊の平安後期作の胎蔵大日如来(町指定文化財)や鎌倉時代作の弘法大師坐像(ざぞう)(同)など多数の品が焼失した。
 「一度死んだみたいなものですから。再建しないことには自分の人生は惨めになると思いました」。火災が起きたことで罵声を浴びせられることもあったが、再建は自分の使命と誓った。本堂の再建費用は約二億五千万円。托鉢(たくはつ)や檀家(だんか)からの寄付、寺の財産などを集め、現在八割ほどの資金を調達できた。来週から本格的に基礎工事を始め、本体着工は二三年春の予定。規模は以前より、小さくするという。
 本堂の前に植えられていた梅の木は、今も幹に黒い焼け跡が残る。火災から三年は花をつけなかったが、四年目に再び花を咲かせたという。「生きることのたくましさを教えられた。寺に新たな命を吹き込んで悩める人の役に立ちたい」。本堂再建という悲願達成に向け、一歩を踏み出す。

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