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馬は胃が小さい、嗜好性の高い飼料を与え同時に飲水もうながす…馬の「夏負け」防止は厩務員の腕の見せ所

2021年9月3日 06時00分

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函館記念をトーセンスーリヤで制しガッツポーズを見せる横山和

函館記念をトーセンスーリヤで制しガッツポーズを見せる横山和

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 カレンダーは9月に突入したが、栗東はまだかなり蒸す。まだまだ暑いので馬の夏負け(夏ばて)への警戒は引き続き必要だ。特にここまで北海道で調整していた馬が、美浦や栗東に戻ってどうなるかは慎重に見極めねばならない。
 新潟記念出走馬ではトーセンスーリヤが本来は暑さに強くはないタイプ。ここまで毎年夏は北海道に滞在してローテを組んでいた。サマー2000シリーズ制覇のそろばんをはじいたとき、メンバー的に札幌記念でなく新潟記念というのは当然の選択だろうが、美浦に帰ってからの調整過程はよく見ておく必要がある。
 人で夏ばてというと、高温多湿の環境への不適応を原因とする体調不良を指す。倦怠(けんたい)感、食欲不振、睡眠障害などが重なり疲労が抜けなくなる。
 原因としては、室内外の急激な気温変化に伴う自律神経失調だったり、食事内容の偏りによる栄養失調などが言われる。ところが馬では、馬房内をミストなどで冷却するものの、人で「冷房病」と言われるような状態が起こるほどの気温変化にはさらされないし、夏だからと飼い葉がそうめんになるわけでもない。
 もちろん暑熱環境は、それだけで馬にとって大きなストレスだ。飼い葉食いや飲水量が落ちると慢性的な脱水に陥る。
 馬は胃が小さいので、飼い葉も細く長く食べ続けなければならないが、水だって一気に飲みためるということができない。一方で、運動時には汗として多量の水分が体外に出ていく。このバランスを保つのは厩務員の腕の見せ所だ。栄養補給の役割をそれない範囲で、嗜好性の高い飼料を与え、同時に飲水もうながす。
 トーセンスーリヤは直近2週続けて美浦Wでよく動いている。夏負けの兆候や否やという視点では、腰周りの膨隆感が失われておらず、いわゆる「ふっくら」した状態だ。脱水の兆候があれば体表が粗く見えることが多い。輸送も挟むので当日、下見所に出てくるまで警戒感は保留しておいた方がよいに違いないが、追い切りまでの経過では順調に映る。

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