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扉を開けば あの看板 金沢「禁煙室」内装 大阪「喫茶水鯨」9日オープン

2021年9月3日 05時00分 (9月3日 05時03分更新)
禁煙室の看板とステンドグラスが設置された喫茶水鯨の内装=いずれも大阪市内で(山口修平さん提供)

禁煙室の看板とステンドグラスが設置された喫茶水鯨の内装=いずれも大阪市内で(山口修平さん提供)

  • 禁煙室の看板とステンドグラスが設置された喫茶水鯨の内装=いずれも大阪市内で(山口修平さん提供)
  • 開店に向け意気込む山口修平さん(右)と加奈さん

メニューも再現 思い継ぎ「愛される店に」

 多くの人に惜しまれながらも昨年末、閉店した金沢市尾張町の喫茶店「珈琲館禁煙室」の内装や食器を受け継いだ「喫茶水鯨(すいげい)」が、大阪市で九日にオープンする。三年前、金沢で店主夫妻が常連客とカウンター越しに気取らぬ会話をする光景を見た水鯨の山口修平さん(31)と加奈さん(31)夫妻。「あの二人がつくり出していた雰囲気を尊敬している。禁煙室のように地元の人に愛される店にしたい」と意気込む。 (郷司駿成)
 「カランカラン」。店の扉を開けると目に飛び込んでくるのは、「たばこの吸える喫茶店」と書かれたかつての店の赤い看板。隣には巨大なステンドグラスが並ぶ。さらに奥の部屋に進むと、カウンターがあり、向かいの壁には、青いタイルが敷き詰められている。いずれも禁煙室から移設したものだ。
 禁煙室は一九八〇年から前野玲子さん(79)と夫の克祐(かつすけ)さん=享年八十一=が一緒に経営してきた。前野さんは二年前に夫を亡くすと、昨年十二月には店の看板を下ろした。
 大阪で水鯨を間借り営業していた山口さん夫妻は、三年前に店を訪れた際に店の雰囲気を気に入ったといい、閉店を知ると、前野さんに思い出の詰まった内装や食器を受け継ぎたいと願い出た。無償で譲り受けると物件を見つけ、六月から工事を開始。カウンターや椅子などに補修や修繕を施し、一部は物件に合わせ加工しながらも禁煙室の外観をできる限り再現した。
 自家焙煎(ばいせん)のコーヒーが自慢の水鯨。一部だが、禁煙室のメニューも再現する。三種類のクリームソーダやホットココア、焼きうどんを用意。いずれも店を訪れた時に食べた記憶をもとにレシピを考案したという。クリームソーダは、容器を特注して同じものにしようとこだわった。
 「主人も喜んでいると思う。どんな部屋になっているか楽しみだね」。前野さんは開店を知り、声を弾ませた。新型コロナウイルス感染拡大の収束後には、かつての常連客と一緒に大阪に行くことを考えている。
 修平さんは「コロナが落ち着いたら金沢の人にもぜひ来てほしい。禁煙室の雰囲気を思い出してもらえたらうれしい」と願った。
 コロナ禍で飲食店にとっては逆風の吹く中での開店。前野さんは自分たちと同じく三十歳を過ぎてから店を持った山口さん夫妻にエールを送る。「若いのだからコロナなんかに負けずに頑張ってほしい。開店おめでとう」

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