渋沢栄一が支援した旭焼の世界 陶都創造館内「多治見商人物語」で企画展
2021年8月31日 05時00分 (8月31日 11時39分更新)
NHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の主人公で近代日本経済を切り開いた実業家、渋沢栄一(一八四〇〜一九三一年)が支援して製造された美術陶器「旭焼(あさひやき)」の企画展が、多治見市本町の陶都創造館内にある博物館「多治見商人物語」で開かれている。現在の美濃焼に連なる焼き物の一つの変遷を伝えている。 (片岡典子)
旭焼を開発したのは、日本の窯業に革新をもたらしたドイツ人、ゴットフリート・ワグネル(一八三一〜九二年)。日本美術に造詣が深かったワグネルは、旭焼で日本画の世界を表現しようとした。
展示を企画した多治見市で製陶業を営む愛知県立芸術大非常勤講師の高木典利さん(72)によると、ワグネルは絵柄の映えるひびのない白い陶器の制作方法や、さまざまな鉱物で釉薬(ゆうやく)の下に色彩豊かな絵を描く方法を求めて研究を重ね、一八八五年に旭焼を完成させた。渋沢らの支援で八九年に東京に製造場を建て、狩野派の一流の絵師が絵付けを担当。この製造場では、プレス機を使用したタイルも製造した。
製品は国内や海外で販売。多治見の陶磁器販売の先駆者で渋沢とも親交のあった加藤助三郎(一八五七〜一九〇八年)も取り扱った。...
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