<ちた特報 ニュースのつぼ> コロナ禍、今こそ南吉文学 半田で特別展
2021年8月31日 05時00分 (8月31日 11時56分更新)
半田市の新美南吉記念館が、南吉の生涯をたどる特別展「コロナ禍に南吉を読む〜感染症と新美南吉〜」を開いている。かつて「亡国病」とまで呼ばれた感染症の結核と南吉の関わり、作品への影響などを紹介する。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、来館者数がコロナ前の二〇一九年度(四月〜八月二十九日)比で37%にとどまる同館。感染対策を尽くした上で、「コロナ禍の今だからこそ見てほしい」と呼び掛けている。 (高田みのり)
結核に倒れて生涯を閉じた南吉の日記には、病の発症前から、たびたび「肺病」などの記述が登場する。
「体操の時間に『爪の白いものは呼吸病だ』と言ったのが気にかかって、何度も何度も自分の爪を見た」(一九二九年九月十六日)
「便所の白いタイルの上に赤く咲いた血の花(略)死ぬのは嫌だ。生きていたい」(三三年十二月六日)
「僕が友達になると間もなくその相手は結核になって死んでしまいました(略)僕はまさに疫病神の生(うま)れかわりでありました」(四一年七月二十七日)
当初は恐れ、発症して以降は生への渇望や悲しみがにじむ。展示資料からは、病が作品にまで影響を与えたこともよく分かる。「わたしにも聞こ...
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