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サントリー所属の松島が心境明かす コロナ禍にも「ポジティブに今できることをする」

2020年4月16日 02時00分

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試合も練習もできなくても「今は身体を休めているとポジティブに受け止めている」という松島=2019年11月8日、東京都府中市のサントリーグラウンドで(大友信彦撮影)

試合も練習もできなくても「今は身体を休めているとポジティブに受け止めている」という松島=2019年11月8日、東京都府中市のサントリーグラウンドで(大友信彦撮影)

  • 試合も練習もできなくても「今は身体を休めているとポジティブに受け止めている」という松島=2019年11月8日、東京都府中市のサントリーグラウンドで(大友信彦撮影)
  • 昨年7月のフィジー戦で攻め込む松島=釜石鵜住居復興スタジアムで(小嶋明彦撮影)
 ポジティブに、今できることを淡々と-。昨年のラグビーW杯日本代表で、来季はフランス1部リーグ(トップ14)のクレルモンに移籍するトップリーグ(TL)、サントリー所属のWTB/FB松島幸太朗(27)がこのたび、本紙のインタビューに応じた。新型コロナウイルス禍で試合はもちろん、練習もできなくなっている現状も「限られたトレーニングしかできないが、酷使してきた体を休める時」などと前向きに受け止めていることを明かした。取材は昨今の社会情勢から、質問事項を書面で提出、松島側も書面で回答する形で行われた。 (取材&構成・大友信彦)
 無念のシーズン打ち切りだったろう。新型コロナウイルス感染拡大に伴いTLは6節終了時点で残る全日程の中止が決定。自然と、5月に開催予定だった日本選手権も消滅した。フランス(仏)リーグ移籍を控えた松島にとって国内で有終を飾るシーズンになるはずだったが…。
 「7年在籍したサントリーでのラストシーズンだし、特別な思いもあったけれど『これはしょうがないな』としかいえない。(TLでは2敗して優勝は難しくなっていたが)日本選手権では優勝を奪還するというチームの目標もあったので(日本選手権も)中止となった時は残念だったけれど、世の中の情勢を見ていても、中止はある程度覚悟していました」
 「この状況は僕たちで変えられるものでもない。受け止めるしかない。受け止めて、どう考えて行動するかを一人で考える時間がありました。経験したことのないことではありますが、ポジティブに行動していこうと思っています」
 仏側の受け入れ態勢、渡仏の時期、準備はどうなっているか。
 「コロナの終息時期は分からないので、渡仏する時期などもまだ確定しないが、どうなっても臨機応変に対応しないといけない。引っ越しやビザ(査証)の準備など、けっこう時間のかかることもあるので、決まったらなるべくスムーズに動けるように準備は進めておこうと思っています」
 桐蔭学園高(神奈川)卒業後、18歳で出生地・南アフリカへ渡り、国内ではできない経験を積んだ。それは先の見えない現在の状況下でも落ち着いて行動できることにつながっているのだろうか。
 「当時の状況と今の状況は違いすぎるので役立つとかはないですね。今は現実を受け入れるしかないと思っています。僕だけではなく、世界中が大変な時。今は感染拡大、まん延を一人一人が意識して行動することが大事だと思います」
 リーグ中断後はどのように過ごしているのだろうか。
 「外出自粛などもあり、今は制限された状態なので限られたトレーニングしかできていません。でも、それもポジティブに捉えて、今まで酷使してきた体を完全に休めることができている状態かなと思います」
 ラグビーを見られないファン、練習も試合もできない小中高校生へのメッセージを、というリクエストにも快く応えてくれた。
 「これまで当たり前にできていた試合やトレーニングが急にできなくなって、僕自身も残念ですが、これはどうしようもないことなので、その中で今自分に必要なことやできることをやっていきましょう。こういった時期に積み重ねたことが後で振り返った時に役立つことがあると思います。特に、学生生活というのは限られた時間になると思うので、再開したときにスタートダッシュできるよう準備しておければベストですね」
 未曽有の事態にも動揺せず、ポジティブに、できる範囲の準備に全力を尽くして、再開の日を待とう-。松島のメッセージは、若きラグビー選手やファンだけでなく、多くの人に向けて発せられたようにも映った。

◆松島は外国にルーツを持つスポーツ選手の先駆け

 近年、日本のスポーツ界ではテニスの大坂なおみ、陸上のサニブラウン・ハキーム、ケンブリッジ飛鳥ら両親のどちらかが外国にルーツを持つ選手の活躍が目立つが、松島はその先駆け的存在と言っていい。
 松島自身、昨年のW杯後のインタビューで「これからはいろいろな競技でそういうバックグラウンドを持つ選手が増えていくと思う。彼らの活躍も自分にとって刺激になるし、自分の活躍に刺激を受けた選手が出てきたらうれしい。そういう新しい選手がどんどん出てくるような環境が整っていけばいいと思う」と語っている。
 高卒時に海外チームの育成機関へ単身挑戦。昨秋は日本初のW杯8強進出に貢献と、常に新境地を開いてきたパイオニアは、ラグビー界だけでなく日本のスポーツ界の後進たちに夢と刺激を与え続ける。

◆サントリーの近況

 松島の所属するサントリーはTLの打ち切りと日本選手権の中止を受け、2019年度の活動を終了。新型コロナ感染拡大による自粛要請に伴い、現在はチーム活動を停止している。クラブハウスとグラウンドも使用禁止とし、各選手は自宅待機。室内および自宅の近くで個人トレーニングをするため、クラブハウスの練習場から、ダンベルやバーベル用のウエートなど、運べる範囲の道具を持ち帰ってトレーニングに使っている選手もいるそうだ。
      ◇
<松島幸太朗(まつしま・こうたろう)> 1993(平成5)年2月26日生まれ、南アフリカ出身、日本育ちの27歳。178センチ、88キロ、WTB/FB。ジンバブエ人の父と日本人の母を持つ。桐蔭学園高2年で高校日本代表、同3年で全国高校大会優勝。18歳だった2011年に南アフリカのシャークスのアカデミー(育成機関)に留学。13年12月、20歳でサントリーと契約。14年度はTLのベスト15に選出され、17年度にはMVPにも輝いた。日本代表には14年のフィリピン戦でデビュー。15、19年W杯出場などで39キャップを誇る。W杯通算6トライは代表史上最多。スーパーラグビーでは15年にワラタス(オーストラリア)、16年にレベルズ(同)、17~18年はサンウルブズでプレーした。

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