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カジノの推進 民意無視せず撤回を

2021年8月28日 05時00分 (8月28日 05時00分更新)
 横浜市長選挙でカジノを含む統合型リゾート施設(IR)に反対する候補が圧勝した。だが政府は依然、カジノ推進の姿勢を崩そうとしない。コロナ禍で国民が苦しむ中、民意を無視した政策は撤回すべきではないのか。
 横浜市長選挙ではカジノについて反対か誘致中止を訴えた候補の得票率が約八割に及んだ。地方選挙とはいえ三百七十七万人の人口を抱える政令市の有権者が「カジノ拒否」の判断を明確に示した意義は大きい。
 現在、横浜市の他に大阪府・市、和歌山県、長崎県が誘致に名乗りを上げている。横浜市の選挙結果が各地で起きている市民による誘致反対運動の追い風になるのは間違いないだろう。
 これまでの世論調査をみても国民がカジノについて懸念を持っているのは明らかだ。カジノで行われる賭博行為はギャンブル依存症の温床となる。反社会的勢力が関わってきた歴史があり、カジノがマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されるとの指摘もある。
 二〇一九年にはIRを所管する国土交通省の副大臣を務めた秋元司衆院議員が誘致をめぐる収賄容疑で逮捕、その後起訴された。
 政府は今年七月に全面施行されたIR整備法に依存症対策として入場回数に制限を設ける条項などを盛り込んだ。だが誘致をめぐる汚職事件まで起きる中、国民が持つ不安を根底から払拭(ふっしょく)するにはほど遠い対策だ。
 IRの目的は観光収入や税収の増加による地域の活性化と雇用の創造だ。しかし事業計画はコロナ禍前に制度設計された。今、海外を含め観光客は激減しており、その回復の道筋は見えていない。娯楽や旅をめぐる人々の行動様式も国内外で激変している。コロナが収束しても、巨大な「密」をつくるカジノが期待通りの集客をできるかどうか不透明だ。
 カジノは一九三〇年代、米国の一部で合法化されて以降、ラスベガスを中心に発展し、各国に広がった。そこは富裕層の遊び場であり水面下では資金洗浄など犯罪が渦巻く。
 これまで海外からの観光が好調だったのは日本の文化や自然、買い物に人気があったためで、カジノを加える必要はない。
 政府は直ちにIR整備法を撤廃し、事業全体を白紙に戻すべきである。  

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