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函館→札幌は立派な「遠征」…裏函組の大幅な体重減は輸送による「水分減」の考慮が必要

2021年8月27日 06時00分

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札幌記念を制覇したソダシ(手前)も函館で調教し札幌に”遠征”した

札幌記念を制覇したソダシ(手前)も函館で調教し札幌に”遠征”した

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 経験の積み重ねで当たり前になっていることが、実は広く世の中の認識に照らすと当たり前でもなかった。よくあることだが、北海道内の移動距離などよく当てはまる事例のひとつだろう。先週、金曜の午後になってから「これから飛行機なので、しばらく電話取れません。あしからず」と、念押しの連絡を入れたところ、デスクから「函館から札幌は飛行機移動なのか」と返ってきてこの地理的感覚のギャップを思い出した。
 函館―札幌間は函館本線の鉄道距離にして318・7キロ。2030年度末という触れ込みの北海道新幹線新函館北斗―札幌間が開通すれば多少事情は変わるかもしれないが、特急で4時間弱である。レース予想のPCを広げながら鉄道で移動というのは、周りにも迷惑。道中の大半で携帯電話の電波もつかまらず、ネット環境とも隔絶されるのでそもそも作業も進まない。地上で作業に徹し、乗ってしまえば40分のプロペラ機で丘珠に飛ぶというのが、毎年裏函取材から札幌開催へ向かうルーティーンだ。
 道内では当たり前の距離感覚だが、道外ではしばしば「隣町」くらいに勘違いされている。だから忘れてはならない。函館調教馬が札幌に使いに行くのは、立派な「遠征」である。
 東海道新幹線に例えれば東京発で豊橋と三河安城の間くらいまでの距離がある。道内だからと言って、馬運車の速度は上がらない。美浦から中京や新潟に使いに行くくらいの感覚だと思っていい。
 今年の函館退厩期限は札幌行きが26日、美浦・栗東行きが27日。裏函運用は今週が最後だった。札幌移動組は水曜に時計を出せば、その日のうちに馬運車に乗るというイレギュラーを強いられる。
 裏函最終週は、しばしば札幌で裏函組の大幅な体重減に出くわす。輸送減りの分のほとんどは水分である。飲まなくなる。尿や汗で出て行く。水は1リットルで1キロと存外重い。5リットル飲むはずの水を飲まなかっただけで5キロ減る。通常時のサラブレッドの体重日内変動幅は10キロ近くある。割り引くにせよ割り引かないにせよ「水が失われた分だから」という出発点を忘れずに考えを巡らせるべきだ。

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