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<三河撮りある記>(86) 豊橋市の「天に続く道」

2021年8月29日 05時00分 (8月29日 05時00分更新)
 当たり前に通っていた道も、ふと立ち止まってみれば、思わぬ発見がある。顔を上げて視線を遠くに移すと、道は一直線に地平線へと延びていた。夏の大きな入道雲にも、夕暮れがにじむグラデーションの空にもたどり着けそうな気がした。

東陵中学校の南側から西に真っすぐ延びる市道=豊橋市牛川町で

 豊橋市東陵中学校(牛川町)の南側から西に延びる市道「東小鷹野・牛川町43号線」と「牛川町・忠興28号線」。学校付近から下り坂が続いており、全長約二・五キロほどの真っすぐな道を見下ろせる。
 市道路建設課によると一九九七年三月に開通。それより半世紀以上前の二八(昭和三)年に、都市計画決定されたという歴史を持つ。一直線になった理由は分からないが、担当者は「周囲との都市計画の中で整理された結果、このような形状になったのでは」と話した。
 スケールは違うが、北海道斜里町に国道334号などからなる全長二十七キロの直線道路、通称「天に続く道」がある。端から見るともう一方の端がかすんで、空とつながっているように見えるため、そう命名されたという。道の両側に広がる農地と組み合わせた壮大な眺めが人気となり、観光名所になっている。
 豊橋市の市道は観光客が来るわけではない。東陵中の森田章裕校長(59)も「生徒たちは当たり前のように、上って下って歩いている」と言う。それでも「私はこの道が大好き。夕日が沈む頃は遠くに街並みもきれいに見える。毎日『いいな』と思いながら、通勤している」。多くの人がまだ気付いていない魅力に引き込まれている。
 (文・昆野夏子、写真・太田朗子)
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