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北原白秋の「鷲津節」箏曲版 湖西市の本興寺で初披露

2021年8月24日 05時00分 (8月24日 10時08分更新)
金原日達住職(左)らに鷲津節などの演奏を披露する琴英会のメンバー=湖西市鷲津の本興寺で

金原日達住職(左)らに鷲津節などの演奏を披露する琴英会のメンバー=湖西市鷲津の本興寺で

 詩人北原白秋(一八八五〜一九四二年)が一九三二、三三年に現在の湖西市鷲津に滞在し、作詞したご当地ソング「鷲津節」。滞在先の河井家旅館で生まれ育った故河井道子さんが実家を懐かしんで箏曲(そうきょく)用に編曲した譜面が、同市鷲津の本興寺で見つかった。二十二日、同寺で市内の琴教室の会員らを招いた演奏会が開かれ、曲として初めて披露された。 (鈴木太郎)
 河井さんは同寺の金原日達住職(86)と中学時代の同級生で、長年琴をたしなんでいたという。金原住職は九月の退任を控えて身の回りの書類を整理中、二〇〇三年ごろの同窓会で「機会があったら聞いてみてほしい」と渡された譜面を偶然見つけた。
 河井さんはこれまで三味線演奏が主だった鷲津節の箏曲用への編曲に加え、白秋が鷲津滞在中に詠んだ詩「浜名の湖(うみ)」にも自作の曲を付けていた。浜名の湖の譜面には、白秋をもてなした河井さんの祖母らへの思いとともに「波にゆれる漁火(いさりび)のかげ、鴨(かも)達の玉虫色にかがやく青い首、巡航船ののどかなエンジンの音−今更のごとく郷愁の思いが胸をよぎる」と記されている。
 金原住職は在任中に何とか演奏する機会をつくりたいと考え、湖西民謡保存会の井原裕司会長(73)に相談。同市吉美を拠点に活動する「琴英会(きんえいかい)」の九人が演奏で協力した。家族ら関係者が見守る中、会員は鷲津節、浜名の湖を含めた計四曲を披露。白秋作詞の二曲は歌いながらの演奏で、市指定文化財の客殿にゆったりした音色を響かせた。
 金原住職は「数年前に河井さんが亡くなり、この場に呼べなかったのが残念だが、きっと喜んでくれていると思う。今後は二曲とも白秋の顕彰の場で使ってもらえるようになるといい」と話した。

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