ラムダ株軽視、対策ずさん 陽性非公表で情報共有せず
2021年8月21日 05時00分 (8月21日 12時13分更新)
南米で多数の死者を出した新型コロナウイルスの変異株「ラムダ株」が初めて、五輪関係者によって国内に持ち込まれた。厚生労働省はラムダ株の脅威の低さを理由に公表せず、機内でラムダ株陽性者の近くにいた濃厚接触の可能性がある人の追跡も十分でなかった。上陸から一カ月、ラムダ株が水際でとどまったのか、市中に出たのか、確認は難しい。 (沢田千秋)
▼限定的
新型コロナ変異株は脅威の高い順に「懸念すべき株(VOC)」「注目すべき株(VOI)」に指定される。世界保健機関(WHO)はラムダ株をVOIに指定するが、国立感染症研究所はどちらにも指定していない。
理由について、脇田隆字所長は「南米で多くの割合を占めるが世界的には減少傾向。デルタ株を上回る感染性があるとは考えておらず、輸入されるリスクは非常に限定的」と説明した。
検疫で見つかった陽性検体の全てを、感染研がゲノム(全遺伝情報)解析しているため、今回の発見に至った。感染研はラムダ株発見を厚労省に報告し、誰でもアクセス可能な国際データベース「GISAID」に登録したが、厚労省は公表しなかった。「公表対象のVOCではないため」(担当者)という。
▼世界最...
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