【中日】「木下じゃなくていいか?」聞いてしまった”自分外し”…柳の答えを「怖くて聞けませんでした」
2021年8月21日 06時00分
◇20日 中日6―0阪神(バンテリンドームナゴヤ)
木下拓が、ショッキングな「事件」を何くそ根性で力に変えた。2回に先制打を放ち、8回には追加点を呼び込む中前打。マスクでは柳の完封勝利を演出した。
「事件」が起きたのは後半戦開幕前日の12日だった。場所は本拠地での練習後の選手ロッカー。首脳陣が柳に木下拓外しを提案するやりとりを目撃した。「木下じゃなくていいか?、という内容の話をしていました」。聞こえないフリをした。柳がコーチにどう伝えるかは「怖くて聞けませんでした」。全身の力が抜け、ロッカーをそっと出た。
なぜ柳をコーチ室に呼ぶのではなく、選手ロッカーで木下拓外しを提案したのか。法大からトヨタ自動車をへてプロ入り。矛盾と理不尽の体育会系のど真ん中を歩んできた29歳も、さすがにこたえた。
室内の選手はまばらで、声は聞こえた。木下拓から担当コーチが見えたから、コーチから木下拓の姿も見えたに違いない。「(首脳陣からの)評価はこの出場試合数からも分かるように、勝てないということだと思いました」
複雑な感情をグッと飲み込めたのは、3試合連続スタメン落ちとなった17日があったから。本拠地・広島戦の試合前に柳から「(自分の試合は)木下さんお願いします」と伝えられた。柳のために勝ちたいと、心底思った。
19日まで後半戦の6戦で計12得点だった打線は、木下拓の先制打をきっかけに京田、大島にも適時打が飛び出した。1イニング5得点は今季最多タイだ。
後半戦7戦目でスタメンは3度目。お立ち台で「一番信頼してくれているのは柳」と語った。その言葉を「笑いなし。ガチです」と説明した。
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