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「火曜日に時計出し週末に備え」じわり浸透… 背景に馬のエネルギー代謝 『リバウンド現象』本来の使い方はこちら

2021年8月20日 06時00分

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◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 水曜、木曜が追い切り集中日。土日が開催。中央競馬の通常の1週間の流れである。ところが最近、火曜日に時計を出して週末に備えるというケースがちらほら見られるようになった。
 今春定年解散した松田国英元調教師が、解散までの1年ほど、積極的に行っていたほか、栗東・吉田厩舎もしばしば敢行する。それ以前も天候などに迫られて行うところもあった。
 2018年秋にノームコアが火曜追いで紫苑Sに勝った時は、台風接近による水曜以降の馬場状態悪化を回避するためだった。今週の水曜は函館の豪雨が予報されていたため、火曜に函館Wで2頭併走1組と単走1頭、函館ダートでは2頭併走が1組、時計を出している。来週はもっと多数いそうだ。函館から札幌に移動する馬の退厩期限は水曜のため、追った日に馬運車に積むという事態を避けるために火曜に時計を出す馬が多く出る。
 水木が追い切り集中日というのが定着しているのでとっぴに映るのだが、馬のエネルギー代謝の観点からは特に変なことをしているわけではない。
 追い切りは馬に運動負荷をかけて筋肉内にため込まれているエネルギー源であるグリコーゲンを一気に消費させる。追い切った後は飼料の配分を切り替える。
 乾草などの粗飼料が多い配分から、エン麦や油かす、その他配合飼料など、糖、タンパク、脂肪ら、直接エネルギーとして取り込みやすい濃厚飼料を多い配分にシフト。筋肉からいったん放出したグリコーゲンを再補給する。この時、適切な飼料管理をすれば、追い切り前よりたくさんのグリコーゲンを筋中にため込むことができる。これを「リバウンド現象」という。減量の失敗を指す言葉だと思われているきらいがあるが、実はこちらが本来の使い方である。
 このリバウンド現象を得て、筋中グリコーゲン再補給が完遂されるのに必要な時間は実験的に調べられておりおおむね3~4日。水曜に追うと土曜から日曜にかけてエネルギーが整う計算になる。重要なのは追ってから競走までの間隔。火曜追い土曜使いのケースは水曜追い日曜使いと変わらない。火曜追い日曜使いも、1日延ばす分には運動で維持は可能だ。

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