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<by 小学生記者> ゴキブリストに聞く 奥深き「G」の世界

2021年8月19日 05時00分 (8月19日 13時31分更新)
虫捕り網を手にする柳沢静磨さん=静岡県磐田市の竜洋昆虫自然観察公園で

虫捕り網を手にする柳沢静磨さん=静岡県磐田市の竜洋昆虫自然観察公園で

  • 虫捕り網を手にする柳沢静磨さん=静岡県磐田市の竜洋昆虫自然観察公園で
  • ウスオビルリゴキブリ(2020年新種として発表)(柳沢さん提供)
  • ベニエリルリゴキブリ(2021年新種として発表)(柳沢さん提供)
  • イツツボシルリゴキブリ(左)がオス(右)はメス(8月6日新種として発表)=柳沢さん提供
  • アカボシルリゴキブリ(2020年新種として発表)=柳沢さん提供
  • 柳沢さん(左下)を取材する小学生記者ら
 長い触角、黒光りする体。家に現れた日には大騒ぎ。時には「G」と呼ばれ、名前を口にするのも嫌だという人も。何のことか分かりましたか? みんなの嫌われ者、ゴキブリを愛し、研究している人がいます。静岡県磐田市の竜洋昆虫自然観察公園職員の柳沢静磨さん(26)は「ゴキブリスト」と名乗り、六日に四種類目となる新種を発表しました。小学生記者三人が「好きを究めること」の楽しさをオンライン取材しました。 (構成・石川由佳理)
 物心付いた時には虫が好きだった柳沢さん。小学生の頃はカマキリが大好きで、冬に卵を見つけて家に持ち帰り、テレビの隣に飾って見やすくした「極上の状態」で春を待ちました。しかし春になる前のある日、机の上を歩いている幼虫を発見。ふと天井を見上げると幼虫がびっしり。テレビの熱でふ化していたのです。「温度でふ化するんだと感動しました」。衝撃的なエピソードに固まる記者たち。
 虫捕りを一緒に楽しんだ友人たちの興味がサッカーや野球に移っても、一貫して虫捕りを続け今に至ります。でもゴキブリは大の苦手で触れなかったそう。二〇一七年に沖縄県の石垣島に採集に出掛けた際、ヒメマルゴキブリに出合いました。生まれた幼虫をおなかの下で守る子ども思いのゴキブリで、危険を感じるとダンゴムシのように丸まります。「こんなやつもいるのかとイメージが崩れました」
 「キモイキモイも、好きのうち」をキャッチコピーに一八年にゴキブリ展を企画しました。お客が来ないかもと不安を抱えつつ、四十四種三千匹を展示。「推しゴキブリ」に投票する「GKB48総選挙」も開きました。「どれか一つを選ぼうとすると、しっかり見てもらえる」と狙いを話します。記者たちも恐る恐る画面に顔を近づけ、選びました。不安をよそに来場者数は前年同期比の二倍に。毎年恒例の人気企画になりました。
 ゴキブリは世界に四千六百種類、日本には六十二種類が生息。ウスオビルリ、アカボシルリ、ベニエリルリ、イツツボシルリは柳沢さんらの研究グループが発表しました。ゴキブリは暖かい地域に多く、沖縄県の与那国島や宮古島などで深夜に探しました。見つからずに帰った時は、衛星写真を見ながら想像を膨らませてリベンジ。新種の幼虫がオス、メス一匹ずつしか見つからなかった時も。寿命が短いオスの土は冷やし、メスは温めることで羽化するスピードを調整。無事同時に羽化し、繁殖につながりました。
 ウスオビルリとベニエリルリは今年七月、種の保存法に基づく緊急指定種になりました。捕獲や殺傷、譲渡などが禁止されます。「ゴキブリを保護する必要があるのかと思う人もいるかもしれませんが、パンダやトキと同じように自然界を支えています。一種類たりともいなくなっていい生きものはいません」と力を込めます。
 記者たちにはそれぞれ夢中になっていることがあります。虫捕りを究める柳沢さんは「続けることが一番のアドバンテージになる。好きなことを好きなだけ続けて」とアドバイスしてくれました。

 やなぎさわ・しずま 1995年、東京都生まれ。中学、高校は虫捕りなどの部活に所属。日本自然環境専門学校(新潟市)を卒業し、2016年から今の仕事に。一番好きな昆虫はゴキブリだが、家に出るゴキブリは今でも苦手。「苦しむ姿は見たくない」と冷凍して退治し標本にする。以前、企画展のためにゴキブリを食べて体調が悪化し、ゴキブリアレルギーと発覚した。

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