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【Dr'sサロン】心の専門家も抱える闇  

2021年8月17日 05時00分 (8月17日 09時46分更新)
 コロナ禍で心を病む人が増え、「お医者さんはどうやって心のバランスを保ちますか」と訊(き)かれることがある。心の専門家として心の内を探るが、灯台下暗しで良い答えは浮かばない。ただ、ある精神科専門医のことを思い出す。
 K君は高校の後輩で、医学部に入る前に同じ大学の法学部を出た点も共通していた。あるとき「開業します」と打ち明けられた。私と同じ嗅覚過敏のあるK君が選んだのは、排ガスの多い大通りから離れた路地裏だった。K君はあちこちの病院を掛け持ちして働いていた。体力増進のためにプロテインも摂取していて、頑張り過ぎではと心配していた。まさかその矢先、開業直前に自ら人生の終止符を打つとは思わなかった。
 精神科医の坂元薫さんは、著書「うつ病の誤解と偏見を斬る」で医師の自殺率は日本人全体の自殺率と比較して高く、中でも精神科医は自殺数が多いと指摘している。理由として坂元医師は(1)精神科医自身が心の闇を抱える経験をする(2)うつ状態や自殺企図の患者と日常的に接する(3)メンタル不調に陥っても同業者の治療を受けるのに抵抗がある−と分析する。
 K君の愛読書は、ヴィトゲンシュタインの「論理哲学論考」だった。...

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