本文へ移動

「東京で欧州と同じことが起こるとすれば・・・たった3週間で感染者20倍になった」 ベルギー小都市からの警鐘「1日も早くこの戦いを終わらせるために協力していきましょう」

2020年4月13日 23時02分

このエントリーをはてなブックマークに追加
シントトロイデンの立石CEO(クラブ提供)

シントトロイデンの立石CEO(クラブ提供)

  • シントトロイデンの立石CEO(クラブ提供)
  • 人影が消えたシントトロイデンの市街地(クラブ提供)
 新型コロナウイルスの猛威が欧州サッカーを直撃している。最高峰の欧州チャンピオンズリーグ(CL)に加え、イングランドやドイツなど主要国内リーグも次々に延期が決まり、前例のない空白期間に突入。今季リーグ戦の打ち切りが検討されているベルギー1部、シントトロイデンの最高経営責任者(CEO)立石敬之さん(50)にコロナ禍の現状と影響を聞いた。
 人口4万人弱の小さな街、シントトロイデンから人影が消えた。3月18日正午にロックダウンが始まり、スーパーを除く小売店、飲食店は軒並み閉鎖。厳重な外出制限の下、散歩したりランニングしたりすることは可能だが、原則、自宅外で家族以外の人に会うと、250ユーロ(約3万円)の罰金が科せられる。地下鉄やトラム(路面電車)は大幅に減便、警察や銀行、郵便局、薬局など最低限の生活基盤は稼働しているとはいえ「社会は、ほぼほぼ機能していない」(立石CEO)状態という。
 ベルギーで最初に感染者が見つかったのは3月9日。3日後、国家安全保障会議が「4月3日までスポーツを含むイベント開催の禁止」を通達したため、リーグ戦の延期も決まり、クラブは同13日から1週間の活動休止を決めた。
 当初はコーチから選手に個別のトレーニングメニューが与えられ、定期的にオンラインでチームミーティングを開いたが、クラブ側は「再開のめどが立たず、選手たちのモチベーションも続かない」と判断。4月1日にはチームの活動を停止し、外国人選手には帰国を許可した。
 欧州の先陣を切る形で、ベルギー国内では今季リーグ戦の打ち切りが検討され、今月24日の総会で決議されるという。

 「レギュラーシーズンがあと1試合と残りはプレーオフだから、ベルギーはリーグ戦をやめやすい状況にはある。欧州サッカー連盟(UEFA)はCLとEL(欧州リーグ)を8月末までに終わらせたい意向があって、ベルギーが打ち切ると、周辺国もそれに続く可能性があるからけん制してきているけど、再開は難しいと思う」
 仮に打ち切りになっても、立石CEOは「ひっくり返るほどのダメージはない」と話す。一方、来季に目を移すと、ネガティブな影響は避けられない。通常なら来季のチーム編成、スポンサー獲得に向けた動きが本格化する時期だが…。

 「来季の予算、収入のめどが立っていない。立てたいけど立てられない。補強も何も、選手を見に行けない、買いにも来てくれない。経済がストップしているから動かない。スポンサー営業にしても『来年もお願いします』と今は言いにくい。この状況下でも安定しているところに絞って、今はやっているところ。7月下旬にリーグが始まると思って準備しているけど、分からない」
 ベルギーにいても、日本の状況はどうしても気になる。感染者数は日を追うごとに増え、感染経路をたどれない症例の割合も高くなってきた。
 「欧州と同じことが起こるとすれば、ここからすごい勢いで増えていく。ベルギーでロックダウンする前は感染者が1000人もいなかったのに、たった3週間で20倍。毎日びっくりするような数字が出て、肌感覚では一気に増えた。東京も(1日の感染者数が)どんどん更新されていくから…。はっきりとロックダウンできない中で、国民の意識の高さを信頼して、自主性に任せるしかないのかな。どこまで自粛要請を守れるかだと思う」
 他国の感染者数推移や状況などに鑑みて、ベルギーの国民は「5月中旬、5月いっぱいまで乗り切れれば」と小さな光を見いだしているという。立石CEOは「そこを目指して、みんなで頑張っていこう、と。ステイホームだよね」と言い、最後にこう続けた。
 「この国においても、世界中においても、このウイルスと最前線で戦ってくれている医療従事者の方々に、毎日午後8時に拍手を送っている。彼らはわれわれのヒーロー。家族と隔離され、ガラス越しにしか会話が許されない方々や一日中、病院で壮絶な戦いをして帰宅し、翌朝起きて、またその戦場に家族を置いて出て行く時の本人と家族の気持ちを考えると『感謝』という言葉さえも軽く感じてしまう。1日も早くこの戦いを終わらせるために、みんなで協力していきましょう」
 ▼立石敬之(たていし・たかゆき)1969(昭和44)年7月8日生まれ、北九州市出身の50歳。国見高から創価大。卒業後、ECノロエスチ(ブラジル)、Jリーグ加盟前の平塚(現湘南)、東京ガス(現FC東京)、Jリーグの大分でキャリアを重ね99年限りで現役引退。指導者に転じ大分ヘッドコーチなどを歴任。ベローナ(イタリア)でのコーチを経て、2007~17年はFC東京で強化部長、GMなどを務めた。18年から現職。昨年末からJ2福岡の経営顧問を兼任、この3月にはJリーグの理事(非常勤)に内定した。

関連キーワード

おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ