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迫る満床、盆明け不安 浜松医療センター

2021年8月14日 05時00分 (8月14日 05時01分更新)
画面に映し出された病棟の様子を観察する看護師=13日、浜松市中区の浜松医療センターで

画面に映し出された病棟の様子を観察する看護師=13日、浜松市中区の浜松医療センターで

 新型コロナウイルス感染が急拡大し、コロナ病床が逼迫(ひっぱく)している。首都圏に近い県東部は60%を超え、県西部も50%に達した。お盆明けには、さらに感染者が増加するとの懸念もあり、医療関係者からは「病床の大半が埋まる」との声も。最前線で治療に当たる医師は「今、感染を抑え込まないと、連日、感染のピークとなる状況が続く」と危機感を強める。 (岸友里、久下聡美)
 今月上旬、浜松医療センター(浜松市中区)に三十代男性が搬送された。「あっ、あっ、あの…」。マラソンを走った直後のように、息苦しそうに激しく肩を動かす男性がストレッチャーで運ばれるのを、感染症内科の田島靖久部長は見守った。歩くことはできず、明らかに重症。搬送されてすぐに、集中治療室(ICU)に運び込まれた。
 この男性は基礎疾患がなく、発症から一週間ほど経っていた。センターに数日間入院して、人工心肺装置ECMO(エクモ)の治療が受けられる他の病院に転院した。
 田島部長は「高齢者のワクチン接種が進んだ効果か、第四波以前と比べ、明らかに入院患者の年代が若くなっている」と話す。
 センターでは十三日現在、コロナ病床三十八床のうち七割が埋まっている。七月下旬は数人だった。第四波まで五十〜七十代が多かった入院患者は、三十〜五十代中心に変わった。五十歳未満は肥満の患者が目立つという。
 死を身近に感じていなかった若者が、息苦しさのあまり「自分は死ぬのかな」と不安を吐露することも。感染症病棟の和久田淑美看護長は「高齢の患者は身体的なケアを必要とする場合が多かったが、今は精神的なケアが重要になっている」と変化を話す。
 患者に感染経路を聞くと、家庭内感染のほか「外食した」「親戚が遊びに来た」といった回答が多く、中でも大型商業施設のフードコートを利用した人が目立つという。田島部長は、学校や学習塾で集団生活する子どもが無症状のままウイルスを家庭に持ち帰って感染が広がる事例も増えると想定。「いかに夏休み中に感染拡大を抑えるかが重要。抑えられないまま学校が再開すると、最悪のシナリオをたどることになる」と懸念する。
 浜松市では一日当たりの感染者数の最多を連日更新しており、田島部長は「来週中には病床の九割が埋まる」と予想する。矢野邦夫・市感染症管理特別顧問は「症状が悪化すると予想されても、入院できない状況に近々なる」とみており、「来週は、発熱外来のある診療所が再開し、感染者が爆発的に増えるのではないか」と不安視する。
 田島部長は、第四波では多くの死者が出たと振り返り「医療現場に十七年間いて、こんな状況に遭遇するとは思わなかった」と語る。東京都では六日に自宅療養中の三十代男性が死亡したことに触れ、「対岸の火事ではない。浜松でも同じことが起きる」と警鐘を鳴らし「いま一度、ステイホーム、マスク着用の徹底、ワクチン接種をお願いしたい」と訴える。

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