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<月刊ラモス>7、8月のJ再開無理なら「秋春制」アリかも

2020年5月12日 02時00分

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雪の舞うグラウンド。広島DFジニーニョをかわしゴール前でシュートを狙うFC東京の石川。秋春制だと、冬季開催回避など知恵を絞る必要が…=2005年3月12日、広島ビッグアーチで(市川和宏撮影)

雪の舞うグラウンド。広島DFジニーニョをかわしゴール前でシュートを狙うFC東京の石川。秋春制だと、冬季開催回避など知恵を絞る必要が…=2005年3月12日、広島ビッグアーチで(市川和宏撮影)

◆故郷ブラジルも大変なことになっている

 日々、報道されている東京都の感染者数を見ていると、ほんの少しだけ終息の兆しが見えてきたかなという気がする。おそらく、緊急事態宣言とゴールデンウイークの「ステイホーム週間」の効果が数字となって現れているのだろう。
 しかし、ここで安心するのはまだ早い。油断すると、間違いなくぶり返す。お隣の韓国も、プロ野球とサッカーのKリーグが無観客で開幕し、終息が近づいたかのように見えたが、ソウルの繁華街でクラスターが発生するなど、ここ数日、感染者が増加傾向にある。また日本でも、いち早く独自の「緊急事態宣言」を打ち出し、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込んだはずの北海道が、感染拡大の「第2波」に襲われている。
 私の故郷、ブラジルもいま、大変なことになっている。感染者は15万人を超え、死者は1万人に達した。感染者は1日に1万人増えているという。見えない敵との戦いは、本当に恐ろしい。
 3月の3連休後、多くの人が行楽地に繰り出して、その後国内の感染者数が爆発的に増えたことを忘れてはならない。今だって、危うい状況にある。ゴールデンウイークは多くの人が我慢した。その成果がいま出ているのだと思う。でも、油断したら元のもくあみだ。あと1カ月をいかに過ごすか。ここで辛抱すれば、6月になってきっといいニュースが届くと信じている。

◆見ている人に夢与えることがスポーツの使命

 とはいえ、我慢、我慢では体も心もまいってしまう。私もずっと家ごもりを続け、たまに散歩したり、買い物したりしているが、それも限界に近い。そもそも、人が動かないとお金も動かなくなる。知り合いのお店も売り上げが激減して、大変なことになっている。
 同じことは、プロスポーツや、音楽、演劇などのエンターテインメント業界にもいえる。多くの選手やミュージシャンが会員制交流サイト(SNS)で映像やメッセージ、音楽を発信しているが、やはり、多くのサポーター、お客さんが集まって感動や喜びを共有してこそのエンターテインメントだ。
 だからこそ、Jリーグもプロ野球も、1日も早い再開、そして開幕が待たれる。コロナまん延で暗い話題が多い中、みんなを感動させ、喜びを分かち合い、見ている人を元気づけ、夢を与える。それがプロスポーツの使命だ。
 11日には日本野球機構(NPB)とJリーグが合同で設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」が行われたが、専門家チームは「開催の日程を具体的に決めることは難しい」と述べるにとどまった。4月、5月と再開、開幕が延び延びになり、6月になるのか、7、8月まで延期されるのか、今後の感染者数の推移次第だが、こればかりは予測がつかない。これは選手にとっても非常に厳しい状況だ。コンディションをどう上げていくのか、メンタルをどう高めていくのか、スタート地点が見えない練習ほどきついものはない。
 最初は無観客での開催になるだろう。その後は状況を見ながら3000人、5000人、1万人と入場者数を増やしていくことになるのだろうか。リーグ戦を成立させるためには75%の試合を消化する必要があるし、いろいろなハードルをクリアしなければならない。しかし、一番に考えなければならないのは、人の命だ。

◆欧州に足並みをそろえればメリットは大きい

 そこで提案である。7月、8月に再開できればそれに越したことはないが、もしそれが難しいのであれば、思い切って9月再開にして、来年の5月まで、つまり欧州リーグと同じ、秋春制にするという考え方もあるのではないか。ただ、これも今後の状況次第だが…。欧州のリーグが今後どうなっていくかも不確定。天皇杯、ルヴァン杯というカップ戦をどうするのか。DAZN(ダゾーン)との契約問題もあるだろうし、超えなければならないハードルは山ほどある。
 一方、欧州のサッカーカレンダーに足並みをそろえれば、多くのメリットが生じる。海外クラブへの移籍がスムーズになるし、国際Aマッチも組みやすい。A代表の強化という意味では、大きなプラス材料となる。
 4月入学、3月卒業という学校制度と開催時期の問題もあるが、コロナの影響で9月新学期という機運も高まりつつある。この議論がどう進んでいくかもあるが、可能性としてはあり得る話だ。
 東北、北海道の降雪については難しい問題だが、ウインターブレークやホームゲームの冬季開催回避など、知恵を絞ればクリアできるのではないか。逆に7、8月に再開し、真夏に週2試合を行うなんて、選手の負担が大きすぎる。
 4年前、秋春制移行の議論が湧き起こり、最終的にはリーグの反対で実現しなかった。しかし、今のままでは選手もクラブも苦しくなる一方だ。決してサッカーの、スポーツの灯を消してはならない。そのための方策を、必死になって考えていきたい。 (元サッカー日本代表)

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