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【石川】金大進学 難問越えて 全介助必要な18歳 村上さん 

2021年8月11日 05時00分 (8月11日 10時26分更新)
移動式ベッドに横になった状態で授業を受ける村上紗楓さん(手前)。傍らに看護師が付き添い、筆記などをサポートする=金沢大角間キャンパスで

移動式ベッドに横になった状態で授業を受ける村上紗楓さん(手前)。傍らに看護師が付き添い、筆記などをサポートする=金沢大角間キャンパスで

「法律でサポートする仕事に」


 全身の筋力が低下する難病で日常生活に全面的な介助が必要な金沢市の村上紗楓(さやか)さん(18)が今春、金沢大法学類に入学。障害者差別解消法で国公立大に義務付けられた「合理的配慮」を受け、看護師の介助などで生き生きと学生生活を送っている。村上さんは「大学は本当に楽しい」と目を輝かせ、「将来は困っている人を法律でサポートする仕事をしたい」と夢を描く。 (小室亜希子、写真も)
 金沢大角間キャンパスの一階教室。村上さんは移動式ベッドで横になり、久しぶりに対面で行われた授業に集中していた。大学までは母悦子さん(50)が送迎し、駐車場で看護師に引き継ぐ。看護師は付き添い、授業中の筆記の補助や教室間の移動、食事など、学内での活動をサポートする。
 体の負担軽減のため対面授業は週二日に集中させ、それ以外は自宅でオンライン授業や課題に取り組む。法学類のゼミでは同性婚をテーマに話し合い、発表内容をスライドにまとめた。政治学も納得できることが多くて面白いという。「スローライフを満喫している」と笑みがこぼれる。
 国指定難病の脊髄性筋萎縮症と分かったのは一歳。脊髄の細胞に異常が生じることで、筋力が低下し、萎縮する。医師に「起立や歩行は生涯できない」と言われたが、両親は「障害があっても社会と分け隔てなく育てたい」と考え、地元の小中学校の普通学級に通った。進学した金沢二水高校では、石川県教委から看護師の派遣を県内で初めて受け三年間を過ごした。
 全身のうち、自分で動かせるのは両手の指先だけ。字を書く、消すことも時間がかかり、体力を消耗する。鼻マスクによる人工呼吸管理が必要になることも多い。高校時代には帰宅すると、声が出ないほど疲れ切ることもあったが、勉強に打ち込んだ。「トライアスロンのよう」だった大学入学共通テスト、二次試験を乗り越え、一般入試で現役合格した。
 うれしいことも、つらいことも経験してきた。「悩みがあるのは、みんな同じ。自分だけじゃない」。大学卒業後は大都市圏で暮らすことも考えており「大変なことも全部自分で受け止めて、少しずつ道を広げていきたい」。挑戦は続く。

【メモ】 合理的配慮 障害のある人から社会にある障壁を取り除くために何らかの対応が必要と意思が伝えられた時、負担が重すぎない範囲で対応すること。2016年施行の障害者差別解消法で国公立大に義務付けられた。私立大は努力義務とされたが、今年5月、民間事業者にも義務化する同改正法が成立。3年以内に施行される。


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