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皇位継承策 議論の先送りをせずに

2021年8月10日 05時00分 (8月10日 05時00分更新)
 安定的な皇位継承策を議論する政府の有識者会議が中間整理案をまとめた。女性宮家案か、旧宮家の皇籍復帰案かの二つだ。そもそも論点は既に出尽くしており、議論の先送りはもう避けたい。
 現在、皇位継承権を持つのは秋篠宮さまと悠仁さま、八十代半ばの常陸宮さまの三人だけだ。悠仁さまの時代に十分な皇族の数を維持できなくなる…。そんな危機意識を踏まえた論議である。
 皇族減少への対策は多くない。女性宮家とは、皇族女子が結婚しても皇室にとどまる案。一方、皇籍復帰とは、戦後に皇籍を離れた旧宮家の男系男子が皇族に復帰する案で、この場合、皇族による養子縁組のほか、新たな宮家創設という手段もありうる。
 政府の有識者会議は歴史学や法律などの専門家からの聞き取り調査を経て、先月下旬の会合で、女性宮家と皇籍復帰の二案を軸とする中間整理をした。
 女性・女系天皇案など皇位継承権の拡大については「次のステップとして考える課題」として踏み込まず、皇族数の確保に向けた検討にとどまっている。
 だが、小泉政権時の二〇〇五年には当時の有識者会議が、女性・女系に皇位継承を拡大する報告書をまとめている。女性宮家の創設も盛り込まれていた。皇籍復帰案は「困難」とも指摘していた。
 〇六年の悠仁さま誕生で議論は下火にはなったものの、野田政権時の一二年には「女性宮家創設を検討すべきだ」と論点整理されていた。共同通信による今春の世論調査でも女性・女系天皇案への賛成はともに80%以上で、皇籍復帰案への賛成は約30%だった。
 女性・女系天皇案が安倍晋三政権になって白紙に戻り、議論が蒸し返されているのは、男系男子主義に固執する保守派への配慮があるのだろう。
 両論併記により議論が再び平行線をたどることを恐れる。愛子さまも、秋篠宮さまの長女眞子さまも、次女佳子さまも近い将来、結婚すれば皇籍を離脱せねばならない。そうなれば女性宮家案も、世論が理解を示す女性・女系天皇案も事実上、立ち消えになる一方、皇籍復帰案が残ることになる。
 一七年の天皇退位特例法の付帯決議は、女性宮家創設などの「速やかな検討」を求めていたはずである。そろそろ結論を導く段階に来ているのではないだろうか。

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