(10)父が教えてくれたこと

2019年8月21日 02時00分 (5月27日 03時54分更新) 会員限定

小学3年生ごろ、親指1本で動かせるように父が改造してくれたゲームボーイで遊ぶ筆者

 障害がありながら生きるのは、不便なことが多い。しかし、世の中の多くの人が誤解しているのは、「不便=不幸」だと思い込んでいること。不便さは工夫次第で変えていけるのだ。
 話は僕が五歳だった一九九〇年代後半にさかのぼる。そのころ、携帯型ゲーム機の「ゲームボーイ」が一世を風靡(ふうび)し、子どもたちはみんな熱狂していた。私の兄たちも、毎日夢中になって遊んでいた記憶がある。
 「僕もやりたい!」。ある日、そう言って私も兄たちにゲームボーイを貸してもらった。しかし、筋肉が徐々に衰える「脊髄性筋萎縮症」と診断されていた私は既に右手の力が衰え始めていた。試してみたが、ゲーム機のボタンが一つも押せなかった。このショックは大きい。
 「なんで僕だけ遊べないんだろう」。落ち込んでいたある日、父が私専用のゲームボーイを買ってきてくれた。「欲しかったんじゃないのか?」。そう言って手渡してくれたが、私は「ボタンが押せないからいらない」と、ふてくされて答えた。
 すると、父はドライバーを使ってゲームボーイを分解し始めた。父は機械いじりが大の得意。十字形のボタンの上に一本の棒を付け、親指だけで上下左右に操作できる仕様に変...

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