(9)素晴らしい先生に出会う

2019年8月7日 02時00分 (5月27日 03時54分更新) 会員限定

体育の授業でも、いつも笑顔でサポートしてくれた先生(左)

 前回のコラムについて、東京の読者からお便りをいただいた。二十四時間人工呼吸器を着けた寝たきりの息子さんがいるという。「息子の思いに寄り添わせてくれる社長に感謝です」。お便りに、そう書かれていた。涙が出た。「こちらこそ、ありがとうございます」だ。
 言葉には、人生観を変える力がある。高校生の時に出会った一人の先生が、そのことを教えてくれた。二十代半ばの男性講師。私にとっては、先生というより、お兄ちゃんという感じの親しみやすい存在だった。
 学校で、私は先生たちの介助なしには何もできなかった。手伝ってもらい「ありがとう」と言うたびに、自分の無力さを痛感し、むなしかった。高校生のころには「ありがとう」は反射的に口から出るだけの、心のこもっていない言葉になってしまっていた。
 そんなある日、私は教室で車いすに座っていられず、横にならないと呼吸するのも苦しいほど体がしんどくなった。運悪く、教室には誰もいなかった。
 ちょうど、その先生が廊下を歩いてきた。私は「すみません」と呼び止めた。先生は足を止めて私の話を聞き、笑顔で抱きかかえて、車いすからベッドに移してくれた。決まり文句のように私は、「ありがとう...

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