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「歩く格闘技」サヨナラ「50キロ競歩」種目見直しは年々加速…見た目には地味な種目の終焉がもの悲しい【満薗文博コラム】

2021年8月7日 06時00分

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男子50キロ競歩で一斉にスタートする選手たち

男子50キロ競歩で一斉にスタートする選手たち

 6日は、4時には目が覚めた。「とうとうこの日が来たか」という自分なりの興奮が原因だと分かっていた。早朝5時半、晴れ。舞台は札幌・大通公園。東京五輪・男子50キロ競歩がスタートした。テレビ越しにはなったが、これが、フルマラソンより長い、陸上競技最長の距離で争われる種目の見納めである。気温は、体力の消耗が激しくなるレース終盤に30度を超えた。
 結果は、30キロから「独歩」状態となったポーランドのトマラが3時間50分8秒で優勝した。3人が出た日本勢では、川野将虎が、3時間51分56秒で6位に入賞した。
 50キロ競歩の五輪史は古く、1908年・第4回パリ大会でスタートしている。それが、この札幌でのレースを最後に、男女20キロを残して姿を消す。世界陸連が主催する世界選手権も同じで、今後は20キロに加えて、最長35キロの距離で争われることが決まっている。
 50キロの世界記録は3時間32分33秒、日本記録は川野の持つ3時間36分45秒である。いや「だった」と言うべきか。
 オリンピックの実施種目見直しは年々加速している。そしてそれは、見た目の華やかさが大きくモノをいう時代に入っている。42キロ余りを「走る」マラソンに比べ、50キロを「歩く」競歩は確かに、見た目には地味である。実際は「歩く格闘技」と言ってもいいほど心身を酷使する。だが、映像を独占する時間は確かに長い。
 今回、札幌で銅メダルを射止めたのは、カナダのエバン・ダンフィーだった。覚えている人が幾人いるだろう。前回のリオ五輪50キロ競歩。残り800メートルで、日本の荒井広宙と接触したのが問題化、一度は荒井が失格、ダンフィーが銅メダルとされながら、二転三転して、最後は荒井が銅メダル、ダンフィーが4位となった因縁を持つ。人のいいダンフィーは、これを受け入れ、雪辱を期しての今回の東京五輪だった。今回、荒井は出ていない。それでも、終盤巻き返して、今度こそ銅メダリストになったダンフィーを祝福しながら、50キロの終焉(しゅうえん)がもの悲しい(スポーツジャーナリスト)
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