(15)執筆ぶりに喝、奮い立つ

2019年10月30日 02時00分 (5月27日 03時54分更新) 会員限定

仕事をしながら、本の原稿執筆にも追われていた20歳ごろの筆者

 「佐藤さんの出版企画が会議で通りました」。二〇一二年の二月、出版社の編集長からそう電話がかかってきた。僕も出版できる。これで夢がかなうんだ。私は舞い上がった。
 「会社もあると思いますし、今日から毎週月曜、原稿用紙二枚分ずつメールで送ってください」。編集長の提案に私は思った。週に原稿用紙二枚ずつか。それなら余裕だ、と。
 だが、すぐに考えの甘さを痛感した。初めの数週間は余裕があった。しかし、当時の私はまだ会社を立ち上げて二年目で、経営はズブの素人。ようやく親戚などからの頼みではなく、一般のお客さまからホームページや名刺製作の仕事をいただけるようになったころだった。私は時間を見つけては、経営について学ぶため、大学の情報技術の科目を受講しにも行っていた。
 一週間はあっという間に過ぎていった。原稿に苦戦していたある日、編集長に電話でこんなことを言われた。「佐藤さんの文章は丁寧すぎます。なんだかおじいちゃんみたいな文章で、あまり面白くありません」
 正直ショックだった。子どものころから作文を書くのは大好きで、学生時代の読書感想文の評判も良かったし、何度も作文コンクールにも入選していた。学校を卒業後...

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