(24)熱い執刀医に支えられ

2020年3月11日 02時00分 (5月27日 03時54分更新) 会員限定

気管切開手術を担当してくれた執刀医(奥)と手術後の筆者。執刀医は、私にしっかり寄り添ってくれた

 二〇一六年四月、気管切開の手術日が近づいていた。声は戻るのか、戻らないのか-。私は不安でいっぱいだった。
 気管切開はそこまで難しい手術ではない。だが、私のように持病がある人は何が起こるか分からない。メスで声帯を傷つけてしまう可能性もゼロではない。そんな説明を再三受けた。
 声を取り戻すには、手術の成功が大前提。その上で、気管切開後に、のどに挿入するチューブ交換がうまくできるかどうかに、かかっていた。
 「どうしても声を取り戻したい」。私は事前に執刀医に、思いを伝えていた。文字盤を使ってしか意思表示ができなかったので、あふれ出る思いをすべて言葉で伝えられなかった。それが、もどかしかった。
 だが執刀医は何かを察してくれたのか、インターネットで私の仕事や活動について調べ、私にしっかり寄り添ってくれた。
 「佐藤さんはまだ若い。声を取り戻せる可能性はある」
 執刀医はそう言ってくれた。医師として自然な姿なのかもしれない。だが、その熱心さには、もう一つの理由があった。
 彼は生まれつき耳に障害があった。補聴器がないと相手の言葉が聞き取れない。医師になった動機も、「障害がある弱者の味方になりたい」という思...

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