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マット外の雑音に苦悩 川井梨紗子が吉田沙保里、伊調馨に次ぐ史上3人目の五輪連覇【東京五輪レスリング】

2021年8月5日 21時28分

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川井梨紗子

川井梨紗子

◇5日 東京五輪 レスリング 女子フリースタイル57キロ級決勝(幕張メッセ)
 2016年リオデジャネイロ五輪63キロ級女王の川井梨紗子(26)=ジャパンビバレッジ=が、19年世界選手権3位のイリーナ・クラチキナ(ベラルーシ)に5―0で快勝し、メダルを獲得。日本女子レスリングで吉田沙保里、伊調馨に次ぐ史上3人目の五輪連覇を果たすとともに、62キロ級で優勝した妹の友香子(23)=ジャパンビバレッジ=との姉妹ダブル金メダルを達成した。五輪夏季競技での姉妹ダブル金メダルは日本勢初。
 2016年リオ五輪でやり残したことが2つあった。1つは姉妹での金メダル。もう1つが、本来の58キロ級(現57キロ級)で戦えなかったことだ。五輪を4連覇する伊調馨(ALSOK)がいたため、日本のチーム事情で梨紗子は63キロ級に階級変更を強いられていた。
 梨紗子は「リオの前は58(キロ)で馨さんに勝ちたい気持ちしかなかった。階級を変更して、その悔しさは時間がたっても変わらなかった」。リオ五輪後に妹・友香子と階級のすみ分けを迫られたとき、57キロ級を選んだのはこの思いがあったから。
 18年に休養を経て復帰した、愛知・至学館大の先輩にもあたる伊調との代表争いは望むところだった。予想外だったのは、金メダリスト対決に対するマット外からの雑音。梨紗子はおおむね逆風の中での戦いになった。12月の全日本選手権は伊調に惜敗。会場の駒沢体育館の隅で「もう耐えられない」と母の初江さん(51)にこぼした。引退も頭をよぎった。
 所属するジャパンビバレッジの金浜良監督(54)は、苦悩する梨紗子を諭した。「彼女(伊調)は一流選手だけど、おまえも一流。一流らしい振る舞いをしないといけない。五輪に向かえるものを自分で拒否するのか。行けない子もたくさんいるのに」。再起した梨紗子はその後の選考会で伊調に2連勝し、五輪2連覇へとつなげた。
 幼いころテレビで見た伊調の印象は強烈だった。「ずばぬけて強い。軽く五輪へ出ているようにすら見えた」と言う。その伊調とそろって出場したリオ五輪。選手村のエレベーターで「五輪は何か違うんですか」と尋ねた梨紗子に、伊調は「注目が違うだけ。自分がやることは変わらない」。その答えで楽になった。
 憧れであり、壁でもあった伊調を乗り越えての金メダル。一足先に優勝した友香子がスタンドから見守る前で、梨紗子が5年越しの“宿題”を終えた。
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