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五輪から歯科医師の道へ 転倒したハードルと同じ後方からスタート…揺るがぬ意思、金井大旺にラグビー福岡が重なる【満薗文博コラム】

2021年8月4日 20時03分

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男子110メートル障害準決勝 転倒する金井大旺

男子110メートル障害準決勝 転倒する金井大旺

  • 男子110メートル障害準決勝 転倒する金井大旺
  • 男子110メートル障害準決勝 力走する金井大旺(中)
 ライバルたちがゴールした後、はるか後方から残りの2台のハードルを飛び越えた。ハードルに足を引っかけて前のめりに転倒。オリンピック・陸上競技史に残された準決勝の記録は「8着26秒11」。4日、国立競技場の110メートル障害準決勝。金井大旺(ミズノ)が、10台のハードルの向こうに見ていたのは、日本人初の決勝進出、さらに、その先に見ていたのは五輪のメダルだった。
 25歳の、マスク越しの青年の目が潤む。惜別のハードル人生は、自らの新たな人生へのスタートを彩るはずだった。北海道の名門・函館ラ・サール高から法大に進んで、いくつかのアルバイトもした。社会人に進んでハードルに打ち込みながら、国際級の前日本記録も樹立、終着駅は、国立競技場の東京五輪と定めていた。
 函館の実家では父親が歯科医院を営む。約束したわけではないというが、金井の中で歯科医師への道は揺るがなかった。
 書きながら、同じような男の顔が浮かんだ。2019年ラグビーW杯の日本代表戦士、28歳の福岡堅樹はこの春、トップリーグのMVPを置き土産に、大学医学部へと進んだ。福岡県の実家は、祖父が医師、父が歯科医師。彼もまた、自らの意思で、スポーツ界最高の場から、医学の道へと歩き出した。受けたタックルは数知れない。
 110メートル障害のハードルの高さは106・7センチ、各ハードル間の距離は9・14メートル。これを着地足の次の1歩から数えて3歩で越えていく。正直、楽ではない。この日のような転倒も、金井は練習時から何度か味わったはずだ。
 ライバルたちがゴールした後から走った金井、医学の道でも後方からスタートして、新たな未来が始まる。
(スポーツジャーナリスト)
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