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高校「情報科」でプログラミングなど必修化 手探りの授業や入試対策

2021年8月4日 05時00分 (8月4日 05時00分更新)
 教科「情報」が再編され、来春の高校一年生からプログラミングやデータの分析などを学ぶ。文理を問わず、情報活用能力の育成が高校に求められるからだ。先月末には、二〇二五年一月以降の大学入学共通テストへの採用も決定。今年三月に公開された共通テストのサンプル問題の難易度を調べた教員からは早速、「難しい」と戸惑う声が上がっている。 (福沢英里)
 サンプル問題の内容や難易度を調べたのは、情報科教員でつくる「愛知県高等学校情報教育研究会」。六月下旬、オンラインで研究協議会を開き、意見交換した。
 大問三つで構成され、第一問は、情報技術の仕組みや利点。震災で固定電話がつながりにくい状況でも会員制交流サイト(SNS)を利用できた理由が問われた。基本的な知識が求められ、「易しい」と評価する教員が多かった。
 「やや難しい」との反応は第二問。比例代表選挙を題材にした問題で、一つの議席を獲得するのに妥当な得票数から、各政党の当選者数を出すプログラムの作成を想定した出題だった。「文章量が多く、計算力か読解力か、何を問うているのか」と戸惑う声もあった。
 第三問も「難易度が高い」とする教員が多かった。問題には、サッカーのワールドカップに関するデータを基に、表計算ソフトで加工した表や、得点やパスの本数など二つの項目の関係を座標を用いて表す「散布図」も示され、データを読み取る力が問われた。身近な題材を評価する声がある一方、「得意、不得意が分かれる」との意見も。「受験対策の授業にならないか」「今の授業をどう改善するのかイメージできない」と不安を漏らす教員もいた。
 来年には新たな学習指導要領が始まるが、教員の情報交換の場には限りがある。電気通信大大学院情報理工学研究科の中山泰一(やすいち)教授は「情報教員は他教科と違い、学校で孤軍奮闘している。授業を公開して教員が学ぶ機会をつくるなど、研修やつながりを増やす必要がある」と指摘する。
 全国高等学校情報教育研究会によると、加盟しているのは愛知県を含む三十一都府県市などの研究会という。

「用語の予習が必要」愛知・小牧高

 愛知県小牧市の県立小牧高校では七月上旬、一年二組の四十人が情報の授業で、サンプル問題に沿ったテーマに取り組んだ。
 授業はパソコン室で行い、テーマは「画像のデジタル化」。担当の井手広康(ひろやす)教諭(36)はスマートフォンの画面を掲げ、デジタル画像の細かさを表す「解像度」について説明を始めた。パソコン画面を構成する縦と横方向のマス目「画素」を数えるよう指示。「百万?」「三千ぐらいかなあ」などと生徒が応じると、縦と横方向の画素数を掛け合わせた数が解像度を表すと解説した。生徒たちは自分のスマホ画面についてもネット検索で調べ、機種によっては解像度がパソコンの三倍あることを確認した。
 モノクロ画像を数字に置き換えるデジタル化にも挑戦。画像がどんな手順を踏んでデジタルデータに変換され、パソコンやスマホに保存されるかを学ぶためだ。画像を格子状に区切る「標本化」や、数字に置き換える「量子化」「符号化」といった具体的な手順を、用語とともに学んだ。
 一連の手順はサンプル問題の第一問に登場する。井手教諭は授業内容の定着度合いを見るため、サンプル問題の該当部分を配り、生徒に取り組ませた。「サンプル問題は全体的に、文章を読んで考え知識を活用しながら解く力が求められる。限られた授業時間数で同種の問題に取り組もうとすると、用語は生徒が各自で予習するなどの工夫が必要だ」と来年以降の授業展開を見据えた。

 教科「情報」 コンピューターの活用法や情報社会を学ぶ高校の必履修教科。2003年度に始まった。現学習指導要領では、情報化が社会に及ぼす影響を学ぶ「社会と情報」か、プログラミングなども扱う「情報の科学」のいずれかを選択する。約8割の高校は専門的な内容が少ない「社会と情報」を教えている。22年度実施の新学習指導要領では、「社会と情報」の内容にプログラミングやデータの活用などを加えた「情報1(ローマ数字の1)」が必履修科目、発展的内容の「情報2(ローマ数字の2)」が選択科目となる。


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