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騎士道に流れを発する西洋に、剣道とチャンバラの国ニッポンが挑み、堂々と勝ち取ったフェンシング頂点の座【満薗文博コラム】

2021年7月31日 14時40分

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金メダルを手にポーズを決めたフェンシングエペ男子団体の(左から)宇山賢、加納虹輝、見延和靖、山田優=代表撮影

金メダルを手にポーズを決めたフェンシングエペ男子団体の(左から)宇山賢、加納虹輝、見延和靖、山田優=代表撮影

 子どもの頃、チャンバラごっこをしていると、村の長(おさ)が、突然“突き”に出始めた。「これはフェンシングと言ってな、西洋のチャンバラだ」。かれこれ60年近くも昔の話だ。チャンバラもフェンシングも、時の主流の傍流に置かれ、辛うじて命脈を保ってきた。
 それが、暴れ川になって突然の「主流宣言」である。見事なエペ男子団体での金メダルだった。
 1896年第1回五輪から、中断を除き、一度も途切れることなく行われて来た競技は4つある。陸上競技と競泳、これは五輪の大きな両輪だから誰でも分かる。あとの二つは、体操と、実はこのフェンシングである。日本の陸・水での金メダル奪取は比較的早く成し遂げられ、体操は今や、日本のお家芸である。
 一方でフェンシングは、08年北京五輪のフルーレで太田雄貴が銀メダルを獲るまで、傍流に甘んじてきた。雌伏の裏側にあった関係者の心血は語られることも少なかった。それが、ついに、金の夢を結んだのだ。騎士道に流れを発する西洋に、剣道とチャンバラの国ニッポンが挑み、堂々と勝ち取った今回の男子団体エペの金メダルは重い。
 太田氏は、36歳の若さで現在国際フェンシング連盟副会長。日本協会の会長職を、頼み込んで陸上十種競技の元日本選手権王者、タレントの武井壮氏(46)に渡したばかりである。新たな血の導入からは、心血がほとばしる。
 剣道に比べたら、フェンシングを部活動に取り入れている学校はまだ少ない。競技人口も少なく、1万人程度とされる。雌伏の時を経て、初めてもたらされた金メダルは「西洋のチャンバラ」がフェンシングとして完全に脱皮する一太刀になった。新たな歴史が始まる。
(スポーツジャーナリスト)
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