<信じた先に> 奥原、逆転負け 前例ないプロ転向、悔いなし
2021年7月31日 05時00分 (7月31日 05時02分更新)
敗れた奥原は天を仰ぎ、喪失感をかみしめていた。前回のリオデジャネイロ五輪女子シングルスの銅メダリストにとって、見据えていたのは金メダルだけ。「自分がこの5年間にやってきたことの答え合わせが終わったな」。準々決勝で逆転負けを喫し、前例のない道を歩んだ挑戦が一つの区切りを迎えた。
リオ五輪から1年たった2017年。大宮東高(さいたま市)バドミントン部元監督の大高史夫さん(70)に、奥原が泣きながら電話をしてきた。所属する実業団を離れ、プロになりたいという相談。東京五輪へ「もう時間がない」と繰り返す教え子に、並々ならぬ決意と切迫感を感じた。
奥原は高校3年と実業団1年目に両膝を痛め、それぞれ手術を受けている。身長156センチの体で泥くさく粘る戦いは負担が大きく、銅メダルを取ったリオ五輪も万全ではなかった。通年で世界を飛び回るワールドツアーと、国内の実業団リーグを戦う過密日程の中、体をいたわる時間が取れないでいた。
プロになれば国内戦の負担はなくなるが、手厚い支援をしてくれた実業団の理解を得た上で、練習場所やコーチ、スポンサーなども自分で確保しなければならない。国内のトップ選手がプロになった...
おすすめ情報