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「半分あかんと思った」 嶺北直撃 記録的大雨 深い爪痕

2021年7月30日 05時00分 (7月30日 09時48分更新)

土砂崩れで押しつぶされた農機具などが入った格納庫=29日午後、越前町栃川で  


 二十九日に嶺北の各市町を襲った大雨で、午前中までの二十四時間に二五四ミリの雨量を記録した越前町上糸生。同地区から流れる越知川流域や栃川地区では床上浸水や土砂崩れ、道路の冠水など大きな爪痕を残した。 (中田誠司、堂下佳鈴)
 町役場から四キロほど上流の牛越(うしごえ)地区。左岸を走る県道は車線の半分が崩れ、流されたとみられる乗用車が川に落ちそうな状態で止まっていた。近くの住宅の外壁には高さ百八十センチの所まで濁流の跡が残る。後片付けをする男性は「雨は七時半から八時半ごろ。道路が川になり(水の跡を指し)ここまで来た」と話し、家の中はめちゃくちゃとため息をつく。
 対岸の横山地区の井上直樹さん(74)は、乗用車を移動し次に軽トラックを移そうとした時には「水深がくるぶしから長靴が水没するぐらいまで上がった」とそのスピードに驚く。同地区は越知川の下流に位置し、五島利兵衛区長(76)は「タイヤや空き缶も濁流にのみ込まれ、ウワーっと流れていた」と被害の大きさを語った。

濁流が流れ込んだ作業小屋から農機具を運び出す住民ら=29日午後、越前町上糸生で

 五キロ上流の上糸生(かみいとう)地区杖立集落は天谷川との合流地点が濁流にのまれた。近くの松島孝治さん(32)は「雨は七時ごろから一気に降り八時ごろには越知川があふれた。福井豪雨の前にもあふれたが今回の方がかなり早く、避難する間もなかった」と話し、駆けつけた親族らと濁流が流れ込んだ農作業小屋から農機具を運び出していた。
 同町栃川では土砂崩れが発生し、農機具が入った格納庫が倒壊。被害を目撃した栃川地区の梅下秀樹区長(64)が状況を確認しようと近づくと、二回目の土砂崩れが起きた。「木がピシピシっとなり、近くの人に『逃げてー』と言った。半分あかんと思った」。無事逃げたが、すぐに「ゴーって音がして、太い木が前の家の庭に倒れた」と緊迫した状況を語った。
 同地区では、電柱が三本倒壊して一時停電する被害も出た。床上浸水した住宅も多く、住民らは流れ込んだ土砂の撤去作業に追われた。地区の男性(48)は「道が川になって、福井豪雨が比じゃないくらいひどかった。通帳やはんこをまとめて、避難する準備をするほどだった」と話した。

福井県の解析雨量画像。29日午前6時半までの1時間降水量が80ミリ以上(紫色)のエリアも確認できる=気象庁ホームページから。地図は国土地理院の地図データを加工


 

一時的に線状降水帯

 嶺北を中心に29日午前中に降った局地的な大雨は、積乱雲が発達したことでもたらされた。福井地方気象台によると、一時的だが積乱雲が帯状に連なって雨を降らせる「線状降水帯」が形成されたという。
 この日の福井県付近は、台風8号が28日に秋田沖で温帯低気圧に変わり、それに向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ。上空に冷たい空気があった影響で大気の状態が不安定となり、積乱雲が次々に発達する原因となった。 (長谷川寛之)

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